運動後の筋肉痛に乳酸は関係がない

運動後の筋肉痛に乳酸は関係がない
以下は、記事の抜粋です。


よく筋肉痛になったとき「乳酸がたまっている」などと表現しますが、実際には痛みと乳酸は無関係であることが研究によりわかっています。

運動後に発生する「遅発性筋肉痛」は乳酸のせいで引き起こされるわけではないことは、1983年のジェームス・A・シュベーネ氏らによる論文で指摘されています。この論文は「ランニング後の遅発性筋肉痛は、運動中の乳酸の生成と関連がある」という仮説を検証する内容で、45分間のトレッドミルでは乳酸濃度は上がったものの筋肉痛は起きず、下り坂のランニングでは乳酸濃度は上がらなかったものの筋肉痛になったことから、乳酸と遅発性筋肉痛とは関係がないということを示しています。

クイーンズランド工科大学のロベルグス氏らによると、筋細胞が産生するのは乳酸(lactic acid)ではなく乳酸塩(lactate)であり、これ自体は筋肉と血流に酸が蓄積しないようにするプロセスなので、筋肉痛には結びつかないとのこと。

では筋肉痛がなぜ起きるかという点について、ロベルグス氏らは「運動中・運動直後の急性筋肉痛と、運動して数時間~数日後に出る遅発性筋肉痛で原因は異なる」と述べています。

運動時に筋細胞では数多くの化学反応が発生しています。これらの反応は多くの生成物や副産物を生み出します。これにより筋細胞間で圧力が上昇し、筋細胞からの分子の動きと相まって神経終末を刺激し、不快感をもたらします。これが急性筋肉痛です。

一方、激しい運動や慣れない運動をすると、筋肉や腱の接続部分が損傷します。この損傷は、イオンやその他の分子を放出させ、神経終末への刺激の原因となります。この刺激が、遅発性筋肉痛です。


元論文のタイトルは、”Is Lactic Acid Related to Delayed-Onset Muscle Soreness?(乳酸は遅発性筋肉痛と関係があるのか?)”です(論文をみる)。

私は何十年も運動後の筋肉痛は乳酸がたまっているためだと思っていました。

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