消費増税で苦しむ病院につけ込む厚労省と自治体

消費増税で厚労省が省益拡大、私立病院に人事介入
亀田総合病院を懲戒解雇された小松秀樹医師についての記事ですが、消費増税が病院経営に与える影響を書いた部分だけを以下に抜粋します。


消費税は本来消費者に転嫁されるべき税金である。例えば「100円(税抜)で物を仕入れて、200円(税抜)で販売している会社」の場合を考えてみよう。

消費税が5%の時には、105円を支払って仕入れ、210円を受取って売っている、この会社は受取消費税10円と支払消費税5円の差額である、5円を国に納税する、つまり100円の利益が上がる。税が8%だと108円を支払い、216円を受け取り、8円を納税する。つまり消費税は本来企業の負担増をもたらさない税金である。

ところが診療報酬には消費税がかけられないのである。

消費税が5%時代に、100円の商品を105円で仕入れ205円で売り100円の利益が上がっていたとすると、8%時代になり100円の商品を108円で仕入れても205円でしか売れない、利益は97円になる。増税分がそのまま利益減少につながってしまう。

実際には人件費の割合が高いので、3%がそのまま減るわけではないが、それでも1~2%の利益減少が生じている。病院経営はほとんど黒字が出ないように診療報酬が設定されているので、この利益減少はそのまま赤字転落を意味している。

国は、消費税増税で得た資金で基金を設立、都道府県に配分するという姿勢を取った。病院にしてみれば突然、売上の1~2%を国に取り上げられて、都道府県の言うことを聞かなければその分を失ってしまう、ということになったのである。

実際に亀田の決算を見ると、2012年には収入が約436億円であるのに対して経常利益は約6億3749万円と収入に対する利益率が1.46%。2013年には約450億円に対して約5億1143万円と1.13%、2014年には約459億円に対して約3702万円と0.08%。このように消費税増税が確実に経営に影響していることが分かる。


恥ずかしながら私は、これまで病院収入と消費税のこのような関係を、まったく知りませんでしたので、上の記事は大変勉強になりました。

亀田総合病院での研修は全国の医学生に大変人気があり、私の知る非常に優秀な学生も今年から亀田で研修を受けているはずです。これらの他の理由からも私は、亀田病院は日本でトップレベルの優れた病院だと思っていたので、記事に書かれている「貧すれば鈍する」状態だとすると大変残念です。

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