抗マラリア薬とインフル薬を追加 中国・新型肺炎治療計画
日本ではアビガン®(ファビピラビル)が新型コロナウイルスに効果があったというニュースが話題になっていますが、他にも効果があると報告されている薬はあります。アルビドール(成分名:ウミフェノビル)はその一つです。以下は、記事の抜粋です。
中国国家衛生健康委員会は2月19日、新型コロナウイルスによる肺炎の治療計画を改定し、試用する薬に抗マラリア薬「リン酸クロロキン」と抗インフルエンザ薬「アルビドール」を加えた。これまでの臨床試験で一定の効果が確認できたため、試験対象を拡大する。
クロロキンは日本でも臨床試験が行われているようですが、アルビドール(ウミフェノビルとも呼ばれる)は、日本では承認されておらず、臨床試験の情報もありません。この薬は、ロシアの製薬会社Pharmstandardによってロシアと中国で販売されている抗インフルエンザ治療薬で、現在米国で第4段階の臨床試験中です。以下は、日経バイオテクが中国で進行中の臨床試験24本を調べた結果です(2月4日時点)。
表によると、アルビドールが一番多くの症例で使われています。アルビドールは1988年にロシアで開発された広いスペクトラムを持つ抗ウイルス薬で、細胞膜やエンドソームの脂質と相互作用して、膜とウイルス粒子の融合を阻害することが作用機序だと考えられています。DNAウイルスにもコロナウイルスやインフルエンザウイルスのようなRNAウイルスにも効果があるとされています。私の知り合いの中国人の医師は中国の別の都市で腫瘍内科の副教授ですが、武漢に行き、現在も雷神山病院で新型コロナウイルスと戦っています。その人の話では、抗ウイルス薬としてはアルビドールを一番良く使うそうで、自分でも患者を診る時は予防的に服用しているそうです。主観的には一番良く効く抗ウイルス薬だと言っていました。回復患者からの血清は使ったことがなく、通常はアルビドールと抗菌薬を組み合わせて使い、重症の場合はγ-グロブリンを使っているそうです。残念ながら、承認される予定もなく儲かる薬でもなさそうなので、日本で使われる見込みはないと思います。
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