肥満を伴う非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の患者の治療において、減量・代謝改善手術は生活様式への介入+至適な薬物療法と比較して、有意に有効、安全性にもとくに問題はない

肥満NASH、減量・代謝改善手術が薬物療法より有効か
以下は、記事の抜粋です。


肥満を伴う非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の患者の治療において、減量・代謝改善手術は生活様式への介入+至適な薬物療法と比較して、1年後の肝線維化の悪化を伴わないNASHの組織学的消失の割合が有意に高く、安全性にもとくに問題はないことが、Ornella Verrastro氏らが実施した「BRAVES試験」で示された。

BRAVES試験は、イタリア・ローマ市の3つの主要病院が参加した52週の非盲検無作為化試験であり、2019年4月~2021年6月の期間に患者のスクリーニングが行われた。

年齢25~70歳、肥満(BMI値30~55)で、2型糖尿病の有無は問わず、組織学的にNASHが確認され、ほかの肝疾患がない患者が、生活様式の改善+最良の薬物療法または減量・代謝改善手術(胃バイパス術あるいはスリーブ状胃切除術)を受ける群に、1対1対1の割合で無作為に割り付けられた。

主要エンドポイントは、1年後の肝線維化の悪化を伴わないNASHの組織学的消失であった。

その結果、主要エンドポイントを満たした患者は、生活様式改善群が15例(16%)であったのに対し、Roux-en-Y胃バイパス術群は54例(56%)、スリーブ状胃切除術群は55例(57%)と有意に優れた(p<0.0001)。

別の解析では、主要エンドポイントを満たした患者は、生活様式改善群が80例中15例(19%)であったのに対し、Roux-en-Y胃バイパス術群は77例中54例(70%)、スリーブ状胃切除術群は79例中55例(70%)と有意に優れた(p<0.0001)。

死亡および生命を脅かす合併症の報告はなかった。減量・代謝改善手術群で、重度の有害事象が156例中10例(6%)に発現したが、再手術を要する例はなく、薬剤または内視鏡による管理で解消した。また、超音波ガイド下肝生検関連の有害事象の頻度は3群で同程度だった。

著者は、「PP解析では減量・代謝改善手術の70%で主要エンドポイントが達成されたが、これは先行の無作為化試験で評価されたすべての薬剤の効果をはるかに上回る」と述べ、「重要な点は、NASHと肝線維化の重症度が高いほど、NASHが消失した患者の割合が高かったことである」とし、「NASHは、肥満と2型糖尿病を有する集団において手術の優先順位を決定する際の重要な因子として考慮すべきであろう」と指摘している。


元論文のタイトルは、”Bariatric–metabolic surgery versus lifestyle intervention plus best medical care in non-alcoholic steatohepatitis (BRAVES): a multicentre, open-label, randomised trial(非アルコール性脂肪肝炎における肥満・メタボリック手術生活習介入+薬物治療:多施設、オープンラベル、無作為化試験(BRAVES))”です(論文をみる)。

BMIが30以上というと身長160cmの場合、77㎏を超えるような場合ですので、それほど珍しい肥満ではないです。有効性よりも胃をバイパスしたり、小さくする手術をしても改善しないヒトが3割いることが驚きです。セマグルチドなど、最近はやりの抗肥満薬の効果はどうなんでしょう?

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