UQのTRIをみて考えたこと

UQのTRIとはThe University of QueenslandのTranslational Research Instituteのことです(サイトをみる)。以下の写真のようにものすごく立派な施設です。
受付(上)はホテルのようです。下は受付近くにある看板。



見学時に配られる入場許可証(上)。玄関近くの空間(下)。



下からオフィスを見上げたところ(上)、同じ階からみたところ(下)。研究者も書類や論文書きなどの実験以外の仕事はオフィスで行います。



ラボ(上)、オフィスとドア1つでつながっています。中からみたオフィス(下)。



休憩するところ?(上)、エレベーターの中(下)。ホテルのようです。



見学に同行した他の施設の女性は”Extreme Jealousy”と言っていました。しかし以下に書くように、私はこんな箱モノは役に立たないのではないかと考えました。

トランスレーショナル・リサーチという言葉をWebで探してみると、以下の様な定義が見つかります。

1)医療につながる基礎研究成果を臨床に実用化させる橋渡し研究(サイトをみる)。
2)基礎的な医学の研究成果を臨床の場に生かしていく橋渡し研究(サイトをみる)。
3)トランスレーショナルリサーチとは、新しい医療を開発し、臨床の場で試用してその有効性と安全性を確認し、日常医療へ応用していくまでの一連の研究過程をさします。広くは疾病の予防から診断までの改善をも含めます(サイトをみる)。

これは、「言うは易く、行うは難し」です。例えば新薬の開発は、トランスレーショナル・リサーチそのものですが、これまでのところ、低分子のものから抗体医薬まで、そのほとんどすべてを大学や公的研究所ではなく、製薬企業が行ってきました。

企業は、利益追求という強いインセンティブのもとに、10,000個に1つしかない薬物のタネを苦労して発見してきました。こうして発見したタネを承認に持って行く開発の仕事にも地道な努力が必要です。このような一連の作業を、論文業績を追及する人々が主体の大学や研究所にできるはずはありません。

また、ファイザーのような大企業でも、新薬開発からジェネリックへシフトした分野もあります。さらに、開発部分をCROに外注することも多くなっています。これらの理由から、UQのTRIのような箱モノに金をかけるのは賢明ではないと考えました。

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