人種差別は薬で治る精神疾患?

人種差別は薬で治る精神疾患?

以下は、記事の抜粋です。


オックスフォード大学の研究者が、心臓病の薬で人種差別意識を緩和できそうなことを発見した。研究では、ベータ遮断薬「プロプラノロール」を服用した人と、プラセボ(偽薬)を服用した人を比べた。すると前者のほうが、人種的偏見を抱く傾向が少なかったと、英インディペンデントが報じた。

プロプラノロールは、心拍などの自律的機能をコントロールする神経回路に作用する。同時に、恐れや感情反応に関係する脳の部位にも作用する。そのため不整脈や高血圧などのほか、不安やパニック障害などの治療にも使用される。

研究の中心になったのは、オックスフォード大学の実験心理学者であるシルビア・テルベック博士。AP通信によれば、有志参加者18人ずつからなる2つのグループを対象に研究は行われた。一方のグループはプロプラノロールを、他方はプラセボを服用してから1~2時間後に、「人種に関する潜在連想テスト」を受けた。

彼らにコンピュータの画面で黒人と白人の写真を見せ、即座に好意的区分か、否定的区分かに分類してもらう実験を行った。するとプロプラノロールを服用した人々の3分の1以上が、「マイナス」の得点を出した。つまり彼らは潜在意識のレベルで、非人種差別主義の方に偏っていた。プラセボを服用したグループでは誰1人として、そうした傾向が表れなかった。


元論文のタイトルは、”Propranolol reduces implicit negative racial bias.”です(論文をみる)。

プロプラノロール(インデラル®)は約50年前に発売された薬で、適応は、①狭心症、期外収縮(上室性、心室性)、発作性頻拍の予防、、頻拍性心房細動(徐脈効果)、洞性頻脈、発作性心房細動の予防、褐色細胞腫の手術時、②本態性高血圧症(軽症~中等症)などです。

上の実験ではプロプラノロール40mgを服用して1~2時間後に、「人種に関する潜在連想テスト」を行っています。狭心症や期外収縮では1日30mgで開始し、十分な効果が得られなければ1日60mg、90mgと漸増し120mgまで増やすことができますので、40mgというのはそこそこの量だと思われます。

実際、脈拍は有意に低下していますが、興味深いことに、宗教的偏見、性的偏見、薬物中毒者に対する偏見などはプロプラノロール投与で変わらなかったそうです。
僕は毎日ベータ遮断薬を飲んでいます。黒人の音楽の方が白人の音楽よりも好きなのは、薬を飲む前から変わりません。

コメント

  1. taniyan より:

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    tak先生
    今日は、何時も楽しく拝読、難しいけど役立つ情報、有難う御座います。
    降圧と夜間頻脈(悪夢時)対策でテノーミン、古い薬剤ですが自分には相性良いようです。
    しかし精神動揺ではデパスが特効、ワイパックスを常用してますがデパスに及ばず。
    寛ぎの一日になりますように。
                 taniyan

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