遺伝子操作したブタの心臓 人に移植成功 世界初 アメリカ
以下は、記事の抜粋です。
アメリカのメリーランド大学の研究チームは1月10日、遺伝子を操作して、拒絶反応が起こりにくくしたブタの心臓を、心臓疾患の男性に移植することに、世界で初めて成功したと発表しました。
研究チームによりますと、移植を受けたのは、不整脈で入院している57歳の男性で、症状が重いため通常の心臓移植の対象にならず、ほかの治療法では回復が見込めない状態だったということです。
手術は今月7日に行われましたが、3日後の10日現在も、男性の容体は安定しているということです。移植に使われたブタの心臓は、再生医療の実用化に取り組むアメリカの企業が作ったもので、10か所の遺伝子を操作して、拒絶反応が起こりにくいようにしています。
移植にあたっては、アメリカFDA=食品医薬品局が、人命に関わる疾患で、ほかに治療の方法がない場合にかぎり、承認前の医療技術を使えるようにする、いわゆる「人道的使用」の許可を出したということです。
遺伝子操作した動物の臓器を、ヒトに移植する技術をめぐっては、各国で研究が進んでいて、アメリカではニューヨーク大学が去年、遺伝子操作したブタの腎臓を、実験的に脳死状態の人に移植する手術を2例、行っています。
今後、臓器の安全性が確認され、規制当局から治療法として承認されれば、将来的に移植用の臓器の確保につながる技術として期待されています。
遺伝子改変したブタの臓器をヒトに移植する話は、これまでも関連記事のように何度もこのブログで紹介してきました。
ゲノム編集技術の進歩によって、かなり自由に遺伝子が改変できるようになった結果、ブタとヒトで異なる糖たんぱく質や内在性のレトロウイルス遺伝子などを改変して移植時の拒絶反応を抑えることが可能になりつつあります。
今回の場合は手術が成功しただけで、治療として成功したかどうかはわかりませんが、治療として成功すれば、ヒト化されたブタからの臓器移植は、重症の心不全や腎不全などの患者に対して非常に期待される治療法になると思います。
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