ブタの腎臓をヒトへ、拒絶反応抑えて移植 米国で初成功

ブタの腎臓をヒトへ、拒絶反応抑えて移植 米国で初成功
以下は、動画と記事の抜粋です。


ニューヨーク大学の外科医らが、遺伝子操作されたブタの腎臓をヒトに移植することに成功したと発表した。免疫系による拒絶反応を起こさず、ブタからの移植に成功したのは今回が初めてとなる。

この実験では、ブタの遺伝子を操作し、拒絶反応を引き起こす分子を取り除いて利用した。研究者によると、この患者は脳死状態で、腎機能障害の兆候があった。患者の家族は、彼女が生命維持装置から外される前に、実験に同意したという。新しい腎臓は患者の血管につながれ、体外で3日間維持された。

外科医のモンゴメリー氏は、「これを人間に移植することの意義は、決して小さくはない」
「実験室での検査も、私たちが行ったすべてのことも、ヒトへの移植時に想定される、ごく正常な状態だった。つまり、2つのことが言える。早期の激しい拒絶反応の兆候はなく、そして、腎臓は正常に機能した」と述べた。氏によると、腎臓の機能低下を示すクレアチニンの値は移植後、正常に戻ったという。

全米臓器分配ネットワークによると米国では現在、10万7000人が臓器移植を待っており、うち9万人以上が腎臓移植を希望している。腎臓移植の待ち時間は平均で3―5年と言われる。モンゴメリー医師は今回の移植実験で、1―2年のうちに末期の腎不全患者を対象とした臨床試験への道が開かれると述べた。


大きさや機能がヒトに近いブタの腎臓を腎不全患者に移植する治療は、iPS細胞などを使って新たに臓器を作るよりもはるかに現実的です。問題は拒絶反応と内在性のウイルス遺伝子でした。

豚の遺伝子には62個のレトロウイルス遺伝子が存在しているので、これらの遺伝子が活性化すると白血病などを発症します。遺伝子操作によってこれらの遺伝子を不活化し、組織適合性を高めたブタを作成することで、腎臓だけではなくヒトに移植できる臓器がいつでも入手できるようになることは、ヒトにとっては大変ありがたい話です。

4年前の記事で、最大の問題だった内在性レトロウイルス(PERV)を不活性化したブタの作成に成功したことを報告しましたが、ようやく臨床試験の可能性が見えてきたようです。今後の進展に期待しています。

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