南アフリカでのオミクロン株感染3万例の入院・重症化リスク

オミクロン株感染3万例、入院・重症化リスクを解析
オミクロン株感染者の入院・重症化リスクは低いと言われていますが、これまで多くの症例を解析した結果は発表されていませんでした。以下は、最近Lancet誌に発表された南アフリカでの約3万例の感染者を解析した論文の要約と解説記事の抜粋です。


南アフリカのNicole Wolter氏らは、南アフリカの4つのデータベースから個人レベルのデータを連携し解析した。

2021年10月1日(第39週)から2021年12月6日(第49週)までに、南アフリカでCOVID-19の患者161,328人が報告されました。38,282人がTaqPath PCR検査で診断され、29,721人のオミクロン株感染者と1412人の非オミクロン株感染者が確認された。オミクロン株感染の割合は,39週目の63人中2人(3.2%)から,48週目の22,455人中21 978人(97.9%)へと増加した。

入院に関連する因子を制御した結果、オミクロン株感染者は非オミクロン株感染者よりも入院のオッズが有意に低かった(調整オッズ比0.2)。疾患の重症度に関連する因子を制御した後、初期のデルタ変種感染者と比較して、オミクロン株感染者は重症化のオッズが有意に低かった(0.3)。


元論文のタイトルは、”Early assessment of the clinical severity of the SARS-CoV-2 omicron variant in South Africa: a data linkage study”です(論文をみる)。

同時期のオミクロン株感染者と非オミクロン株感染者を比べた結果ですが、非常に急速に(10週間)オミクロン株に入れ替わったため、免疫獲得による入院・重症化への影響を除くことは難しいです。しかし、日本でも第5波はほとんどデルタ株、今回の第6波はオミクロン株と考えられそうなので、入院リスクは第5波と比べて約1/5と予想されます。この数字は感染初期に新しい薬物などによる効果的な治療を行うことでさらに小さくできると思います。

 

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