ワクチンデマはなぜ広がる? 人々が騙されるのにはワケがあった
以下は、記事の抜粋です。
そもそもワクチンとデマは、非常に相性がいいんです。主に3つの理由が挙げられます。第一に、米国大統領選挙でも見られたように、多くの人に関係すればするほど、人々の関心が高ければ高いほど広がりやすいというフェイクニュースが持っている性質です。
第二に、高度な専門知識が必要であること。ワクチンについて詳しく正確に知識を身に付けている人はごく少数で、一般的な人は専門知識がありません。すると、知識がないので不安になります。この不安な感情が、フェイクニュースの拡散メカニズムにおいて非常によく機能するんです。
第三に挙げられるのは、デメリットが目立って、メリットが目立ちにくいというワクチンの特徴です。ワクチンを接種すると副反応が出ます。これはファクトですが、発熱がけっこう強く出る方もいて、そういうデメリットは目立ちます。一方で、メリットはわかりにくい。
では、なぜ少なからぬ人が騙されてしまうのでしょうか。これにもいくつか理由があります。
たとえば、「ワクチンによって人口減少を目論んでいる」とか「新型コロナウイルスはそもそもワクチンを広めるための茶番だ」といった陰謀論が世界的に流布しています。こうした陰謀論を信じてしまう人の特徴の一つとして、政府に対する信頼度が低いということがわかっています。
1つは経済的理由です。英語圏のSNS上で拡散された誤情報の65%は、“ディスインフォメーション・ダズン”とよばれる12の人や組織が作成して拡散していたことがわかっています。その“ディスインフォメーション・ダズン”が何をやっているかというとビジネスなんです。反ワクチン的な言説を流すことによって、彼ら自身の本を売ったり、健康食品を売ったり、有料セミナーを開いたりして莫大な収益を得ています。日本でも反ワクチン的なインフルエンサーで本を売ったりしている方が複数いますが、ある程度そういったビジネス的な動機があるのかもしれません。
ただ、日本の場合は、おそらく多くの人が、「ワクチンは危険なもので、体に悪い。打つべきではない」と真剣に心配し、それを強く主張しているのではないかと思います。炎上に関する私の研究では、炎上で書き込んだ人のうち約60~70%は正義感から書いています。人間というのは、自分が正しいと思った時ほどエネルギーを発揮するんです。
讃井 医学知識や科学的態度に基づき本来同じ土俵に立っているはずの医師の中にも、少数ですが標準的でない主張を唱える方がいます。ワクチンだけでなく、有効性が示されていないイベルメクチンを治療薬として推奨している医師もいます。そういう方たちは、臨床研究結果をスタンダードな方法で解釈し、薬剤の立ち位置を客観的、中立的に捉え、発信しようとせず、自分の信念・正義を貫こうとしてエネルギーを発揮しているという印象があります。
私の知人にもおそらく正義感から「反ワクチン」唱えているヒトがいます。そのヒトは間違いなく政府を信頼していないと思いますが、学歴から判断してですが、知識や教養レベルは高いと思われ、ワクチンの有効性を理解するのに問題があるとは思えません。イベルメクチンを予防的に飲んでいると言っているので、中途半端ですが医学知識もありそうです。
また、「反ワクチン」で儲けているわけではないのに、反ワクチンの医者もいます。知識が足りない可能性はありますが、こういうヒトが不特定多数の診療をしていると思うと恐ろしいです。ということで、この記事は興味深いですが、現実の「反ワクチン」はもっとややこしいと思います。
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