腎機能の正しい評価は、血清クレアチニン検査ではなく尿アルブミン検査で。

ある日突然「人工透析です」高血圧、高血糖、高コレステロールの人が知らない”あるリスク”
以下は、記事の抜粋です。私自身のためのメモとして紹介します。


牧田医師は、「人間ドック等で行われる血清クレアチニン検査では腎臓が悪化していく過程を捉えられず、結果、いきなり『人工透析です』と言われる人が続出している」と警鐘を鳴らす。特に高血圧、高血糖、高コレステロールの人はリスクが高いため、尿アルブミン検査を受けるべきというのだが──。

実は、皮肉なことに糖尿病の合併症の腎症がかなり進行すると、血糖値のコントロールが良くなるのです。なぜなら、腎機能の悪化で「インスリン」すら体外に排出できなくなってしまうからです。

腎臓が悪くなったことで、本来なら数分後には消えてなくなるはずのインスリンが排出されず、いつまでも血液中に残ります。そして、血糖値を下げる働きをずっと続け、結果的にヘモグロビンA1c値が下がるのです。腎臓が悪くなって透析が避けられなくなると、血糖コントロールがかえって良くなるなんて皮肉な話です。実際に、インスリン投与を止めることができる人も少なくありません。しかしながら、こうしたケースでは、いくら血糖値が下がってもまったく喜ぶことはできません。その人の腎臓は、もはやあらゆる毒性物質を排出することができなくなっているわけですから。

一度、透析に入ったらやめることはできません。透析の患者さんは「身体障害者1級」という最も重度の障害者と認定され、医療費はすべて国か健康保険組合が負担します。透析は、1回の治療に約5時間かかり、週3回ほど行います。以前はもう少し短く、4時間程度で終えることもありましたが、透析時間はできるだけ長く取ったほうが患者さんの体にとっていいことがわかってきました。

透析を始めると血管が傷み、動脈硬化が著しく進みます。そのため、心不全、心筋梗塞や脳卒中といった血管系の病気が高頻度で起こります。加えて、透析の患者さんではがんの発症率も高くなることがわかっています。透析に入った患者さんの5年生存率は60%。4割の患者さんは5年以内に亡くなります。だからこそ、透析に入らないで済む段階での治療が望まれるのです。

腎臓の状態を判断するのに多くの医師が用いている「血清クレアチニン」の検査は、はっきりいって“役立たず”です。たとえ血清クレアチニン値が「正常」であっても、実際の腎機能はとうてい正常とはいえないケースが多々あります。

「患者さんの血清クレアチニン値に異常が出たら、『腎臓が少し悪くなり始めたくらい』と思っているでしょう。それは大きな間違いです。血清クレアチニン値に異常が出たらもう手遅れで、腎不全を起こしていて数年で透析に入るしかないんです。そうではなく、もっと早く紹介してくれれば治せるんです。尿アルブミンの検査をして、数値が300を超えたらすぐに紹介してください」

テルミサルタンという血圧の薬を使うと軽症の腎臓病は治るということがわかりました。しかも、血圧が正常で腎臓の悪い患者さんにも投与されて効果が認められました。テルミサルタンは、血圧に無関係に腎臓を良くする効果があることがわかったのです(Diabetes Care 2007;30:1577-1578)。

スピロノラクトンという薬を上手に使うとかなり重症の腎臓病も治るという、今までの常識を根底から覆すような発表がなされました。それまで、この薬はカリウムという成分が体内で増える副作用があり、腎臓が悪い人には使わないようにといわれていたのです。

高血圧、糖尿病、コレステロール高値などで通院中の方は、慢性腎臓病になりやすいので、いますぐにでも「尿アルブミン」検査を行ってください。この検査は保険がきき、3割負担の方なら、検査費用だけなら300円程度で可能です。尿アルブミン検査の結果と、血清クレアチニン検査から求める「eGFR」という指標の2つがあれば、あなたは一生涯人工透析にならないための治療を早めに、かつ、適切なやり方で行うことができます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました