「ビタミンCで風邪を予防」はウソ

「ビタミンCで風邪を予防」のウソ、誤解生んだノーベル賞化学者
以下は、記事の抜粋です。


風邪とインフルエンザがはやるこの季節、予防のためとしてビタミンCを頼りにする人もいるだろう。ビタミンCには免疫系を強化する働きがあり、健康的な食生活に不可欠であることは間違いない。ただ、そのメリットが強調されすぎている面があるため、過剰に摂取している人も多い。通常は、それで危険が生じることはないものの、時間とお金の無駄になりかねない。

ビタミンCが万能薬だという評判が確立したのは、1970年代のことだ。ノーベル賞を2度受賞した化学者のライナス・ポーリングが、1日3000ミリグラムのビタミンCの摂取をすすめたのがきっかけだった。その結果、ビタミンCを大量に摂取すれば、通常の風邪を引かなくなるばかりか、心臓病やがんといった深刻な疾患を遠ざけ、長く健康に生きられるという誤解が広まることになった。

しかし、ポーリングの主張は厳密な検証を経たものではなかった。「ビタミンCの大量摂取が通常の風邪の予防や治療に有効という説に、一貫性のある科学的な証拠はありません」。米国立衛生研究所(NIH)の栄養補助食品室長を務めるステファン・パシアコス氏は、そう説明する。

風邪への効果は?
2020年10月に学術誌「Frontiers in Immunology」に発表されたレビュー論文によれば、ほとんどの研究で、オレンジジュースやサプリメントをたくさん飲んでも、風邪に対して大きな効果は認められていない。実際に、1日の推奨量(日本では男女ともに100ミリグラム)の何倍もの量を摂取しても、大多数の人の健康が増進するわけではない。1000ミリグラム以上のビタミンCを摂取しても、体は効果的に吸収できず、尿として排出されるからだ。

ただし、一時的な大量摂取で風邪は予防できなくても、ビタミンCを常に摂取していると、風邪の期間が少しは短くなるという報告がある。ビタミンCを毎日200ミリグラム以上摂取している人は、実際に、成人で8%、子どもで14%早く治るとするレビュー論文が、2013年に信頼度の高い医学的な情報をまとめるデータベース「Cochrane Database of Systematic Reviews」で公表されている。

不可欠なビタミンC、いったい何をしているのか
ビタミンCは、インターフェロンというタンパク質の生産を促進します。このインターフェロンが、細胞をウイルスから守るのです。さらに、ビタミンCは白血球、とりわけ病原体を飲み込む食細胞を活性化させ、感染症と戦うその他の免疫細胞の活動も刺激します。

ビタミンCはコラーゲンの生成にも使われる。コラーゲンは、骨や筋肉、そして、強い血管を作るうえで重要なタンパク質だ。また、コラーゲンは皮膚にとっても不可欠で、傷を治し、瘢痕組織を作る結合組織の材料となるほか、たるみ、しわ、しみ、にきびを防ぐ効果もある。

スキンケア製品にビタミンCがよく使われているのはそのためだ。ビタミンCと日焼け止めを併用すれば、日焼けによる有害な影響から肌を守る効果が得られるという報告もある。

ビタミンCには、抗酸化物質として、体内のフリーラジカルを中和する役割もある。フリーラジカルとは、活性酸素など奇数個の電子を持つ不安定な分子だ。フリーラジカルが血液や皮膚などの細胞の分子から電子を奪うと、細胞が損なわれてがんや心臓病の原因となる可能性がある。

さらに、ビタミンCは脳や神経系にとって重要な化学伝達物質やホルモンの生成を促すので、ストレスや不安の軽減につながる可能性がある。また、白内障を予防したり進行を遅らせたりする、痛風の原因となる尿酸値を下げる、といった役割についての研究も行われている。

十分な量のビタミンCを取るには?
ビタミンCは、体内で作ることも蓄えることもできないため、外部から摂取する必要がある。ビタミンCが著しく不足すると、かつて船乗りたちに恐れられた病気、壊血病になる可能性がある。

しかし、ほとんどの人は、日々の食事で十分な量のビタミンCをまかなえている。米国では、一般的な食事で推奨摂取量を満たすことができる。なお、喫煙者には、1日35ミリグラムのビタミンCが追加で必要になる。喫煙によって、ビタミンCを吸収する能力が低下しているからだ。

ビタミンCを取りすぎるとどうなるの?
米国のビタミンCの摂取上限量は、成人で1日2000ミリグラム(日本では摂取上限量は設定されていない)。ほとんどの人はこれを超えても問題はないが、腎臓に疾患のある人は気をつける必要がある。

また、ビタミンCには歯茎を丈夫にする効果もあるが、口腔衛生においてはマイナス面もある。ガム型のビタミンCサプリメントは酸性なので、長時間口の中にあると、歯が溶ける酸蝕症の原因になる可能性がある。

十分なビタミンCを取ることは重要だが、過剰摂取してもほとんど効果はない。ビタミンC不足のリスクがある場合は別としても、ほとんどの人は通常の食事で十分です。サプリメントに頼るのではなく、バランスのよい食事で栄養を取り、健康を維持するのが理想です。


おバカな医師のようです。

そういえば、1970年代の終わりごろ、アスコルビン酸(ビタミンC)を研究室に来る試薬屋さんに注文して毎日飲んでいることを自慢している友人がいました。今はどうしているでしょう?

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