多発性骨髄腫の治療について
「白い巨塔」で主人公の財前五郎が罹った当時は不治の病だった多発性骨髄腫の治療がかなり進歩しています。以下に国立がんセンターのサイトから薬物治療の部分を抜粋しました。
多発性骨髄腫の標準治療では、様々な対応の薬剤を併用する薬物療法を行います。近年、新規薬剤と呼ばれるボルテゾミブ、レナリドミド、サリドマイドが使用できるようになり、難治性の多発性骨髄腫にはポマリドミドが承認されました。さらに、分子標的薬のカルフィルゾミブ、イキサゾミブ、エロツヅマブなども加わり、治療の選択肢が広がっています。
移植を行わない患者さんでは、長らくMP療法(メルファラン+プレドニン)、またはCP療法(シクロフォスファミド、プレドニン)が標準療法でしたが、近年の新規薬剤の登場により、近年では、D-MPB療法(ダラツムマブ+メルファラン+プレドニン+ボルテゾミブ)やD-Ld療法(ダラツムマブ+レナリドミド+デキサメタゾン)が主流になっています。ダラツムマブが使用できない場合には、患者さんの状態に応じて、ダラツムマブを除いたMPB療法(メルファラン+プレドニン+ボルテゾミブ)やLd療法(レナリドミド+デキサメタゾン)が行われます。
サリドマイドは1950年代末から60年代初めに、鎮静・催眠薬として世界 の十数カ国で販売され、この薬を妊娠初期に服用した結果、胎児の手/足/耳/内 臓などに奇形が生じる薬害問題が多発しました。 サリドマイドの催奇形性により、世界で数千人~1万 人、日本で約千人(死産を含む)の胎児が被害にあっ たと推定されています。
その後、サリドマイドに免疫調節作用などの有用な薬理活性が認められ、サリドマイドとその誘導体(レナリドミド及びポマリドミド)は厳格な安全管理のもと、現在最も有効な免疫調節薬(immunomodulatory imide drugs, IMiDs)として多発性骨髄腫などの治療に使用されています。
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