山際大臣「所得倍増は所得が2倍になる意味でない」
以下は、記事の抜粋です。
山際経済再生担当大臣はテレビ朝日などのインタビューに応じ、岸田総理大臣が総裁選で掲げた「令和版所得倍増」は所得が2倍になるという意味ではないとの認識を示しました。
山際大臣:「文字通りの『所得倍増』というものを指し示しているものではなくて、多くの方が所得を上げられるような環境を作って、そういう社会にしていきたいということを示す言葉だと総理はおっしゃっているじゃないですか」
山際大臣は「令和版所得倍増」の詳細については近く設置される「新しい資本主義実現会議」で議論するとの見通しを示しました。
2020年1月に当時の安倍首相が「桜を見る会」について国会で「私は、幅広く募っているという認識で、募集しているという認識ではなかった」と言ったことを思い出しました。これと同じような日本語の崩壊です。
所得倍増計画は、1960年に池田内閣の下で策定された計画で、翌1961年からの10年間に実質国民総生産(GDP)を26兆円にまで倍増させることを目標に掲げたものです。図のように(1961からの10年間は示されていませんが)、当時のGDPはものすごい勢いで増えましたが、最近は完全に頭打ちになっています。これから考えても、「所得倍増=GDP倍増」は無理です。
岸田首相がどのようなつもりで「所得倍増」と言ったのかはわかりませんが、山際大臣の認識は非常にもっともだと思います。今度の選挙では、与党も野党も「分配」と言っていますが、財務省の矢野次官が「文芸春秋」に自民党総裁選の論争について、「バラマキ合戦」と寄稿したように、野党の話も「バラマキ」の耳障りの良い話ばかりで財源には触れていません。
分配よりも経済の活性化を重視したと思われる「アベノミクス」でも上のグラフのようにGDPは上向きませんでした。与党も野党も経済の活性化や財源の確保についての展望もなく、矢野氏が書いたように「まるで国庫には、無尽蔵にお金があるかのような話」ばかりをしています。できれば「タイタニック号が氷山に向かって突進しているような」日本の財政状況を何とかするアイディアと一緒に「分配」を提案して欲しいと思います。矢野氏が左遷されないかどうか注目しています。
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