文部科学省は、大学教員や博士課程の学生の研究活動をサポートする「研究支援者」を大学が雇用する際、人件費などを補助することを決めた。
今年度は全国50大学を対象に計2500人分を支給する。大学の研究環境改善や、博士号取得後も定職に就けない「ポストドクター」(ポスドク)と呼ばれる若手研究者らを救済する狙いがある。
研究支援者を対象にした国の補助は初めて。今年度分は政府の追加景気対策の一環として300億円を計上した。人件費は1人当たり400万円程度を想定しているが、大学の裁量による変更は認める。残りは事務費や渉外費などに充ててもらう方針だ。補正予算の成立後、国公私立大学を対象に申請を募り、研究実績や博士課程在籍者数などを審査して選定する。将来的には恒久的制度とすることも検討したい考えだ。
研究支援者は、〈1〉観測機器や実験用設備の保守管理〈2〉研究資金申請や外部評価のためのデータ作成〈3〉海外の大学、企業との連携や国際会議開催支援――などに当たっているが、日本の研究者1人当たりの支援者数は0・27人で欧州各国の0・7人前後に比べて少ない。(2009年4月24日15時11分 読売新聞)
文科省:研究者を雑用から解放 支援者、50大学に2500人配置へ ◇実験機器管理、事務処理を支援
同じニュースを扱った毎日新聞の記事です。
「追加経済対策15兆円」の一部のようです。竹中平蔵氏は、サンケイの記事の中で次のように指摘していいます(記事をみる):「政治のトップが十分な理念を示すことなく各役所に政策の『タマ』を出すことを求めたことから、補正予算の内容は見事なほど従来型政策の延長になった。」 おそらく、文科省では「ポスドク救済」というタマが出たのだと思われます。
しかし、文科省が「恒久的制度とすることも検討したい考え」だとしても、恒久的制度となる保障はなく、ならなければ、救済どころか、来年は25,000人が路頭に迷うことになります。
また、記事では、ポスドク自身が支援者として雇用されるのか、ポスドクのために支援者が雇用されるのかも不明です。文脈から判断すると、ポスドク自身が支援者になるようですが、その場合は、研究者をめざしていたポスドクが支援者になるわけですから、実際は「研究者を雑用から解放」ではなく、「研究者に雑用を押し付ける」ことになります。
「追加経済対策15兆円」の一部として、もっと巨大な金額(3000億円)が文部科学省から拠出されるようです「文部科学省が1テーマ2700億円、5年間で平均総額90億円の科学研究を30件支援」(記事をみる)。これも見事なほどの従来型政策です。宮田満氏は、これを「科学バブル」と呼びながら、肯定的に書かれています。しかし、一方では「今回もし、こんなにも科学技術研究費に投入したのに、結局無駄遣いだったと国民に判定された場合、これが最後の科学技術研究費バブルになるのではないかと恐れています。」という懸念も書かれています。
日経バイオと同系列のNIKKEI BPnetには「民間の視点で見た追加経済対策15兆円の怪しさ」という記事があります(記事をみる)。この記事や先に紹介した、竹中氏の記事を読むと、私もこれが最後の「科学バブル」になるのではないかと不安です。
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