3月26日のブログ記事「そこまで言っても委員会?」に最近、いくつかのコメントをいただきました。以下に紹介します。
■無題
事件が起こる以前に先生に「行っておけ」と言われて、講習会に参加しましたが、確かに大学の講習会は全く役に立ちませんでした。実験動物の移送手続きの話ばかりして眠かったのを覚えています。しかも事件後にも自発的に再度講習会を受講しましたが、相変わらず動物の移送手続きの話が多かったです。菌等による組替え実験は動物実験以上に日常的に行われているはずですが、なぜその話を講習の軸にしないのかという点については大いに疑問です。
先生の責任ももちろんですが、大学側の道義的責任も免れないと思います。
あと、他の研究室がどこもやっていないというのが、明らかなウソというのには同意します。よい膿出しの機会なのに、大学本部の対応には失望するばかりです。
元 2009-04-19 15:00:39
■免罪される理由は?
私は,takさんのみ懲罰委員会の対象となるのは奇妙な感じがします。理由は以下の二つです。
(1)学生は免罪されるのか?
カルタヘナ法の罰則に関する条項を読むと,そこには教育指導者と学生なる区別はありません。遺伝子組換え生物等の使用をした者,又はしている者が法令違反した場合,1年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金(あるいはその併科)に処されます。このようにカルタヘナ法には学生や指導者の区別はありません。組換えDNA実験指針当時あった教育目的組換えDNA実験がカルタヘナ法で無くなった理由は,学生といえども法律上特別扱いにできないからだと思います。もちろん指導者としての立場を利用してtakさんが学生に違反行為を教唆したのであれば話は別です。そして,もしそれが事実であるならば,学生に対してどのような聞き取り調査が行われ,どのような回答が得られたか懲罰委員会はtakさんに開示すべきだと思います。
(2)安全委員会は免罪されるのか?
「指針」から「法律」に変わったことでもっとも重要な変更点は,上述のごとく罰則が措置されたことです。そのために安全管理体制が「指針」当時よりいっそう重要になりました。しかるに安全委員会は,実験責任者にのみその責任を押し付け,自らの管理責任を放棄していると思います。カルタヘナ法第三条(基本的事項の公表)に基づく基本的事項(六者共同告示)の第二には委員会を設置して,遺伝子組換え実験が安全に実施されるように使用者に配慮し,取り扱いに関する教育訓練などをしなければならないことが記載されています。重大な法令違反があった以上,安全管理体制に不備があったことは明白ですから,懲罰委員会では委員会の管理体制についても調査するべきです。なおカルタヘナ法第45条を読むと,行為者のほか,法人の代表者も罰則の対象となっています。大学学長を含めて委員会の管理責任を懲罰委員会は審議すべきです。
sachi 2009-04-25 21:34:33
■Re:免罪される理由は?
>sachiさん
組換えDNA実験指針当事の「教育目的組換え実験」は,高校生に分子生物学を教えるための教育的配慮であり,sachiさんのいうような「学生といえども法律上特別扱いできない」というのは少し違うと思います。以前も大学生や院生は,研究者扱いで特別扱いではなかったですから。ただ,指針当時は実験責任者や実験従事者の区別がありましたが,法制化以後は,単に遺伝子組換え生物を使用する者となっています。やはり法律で規制する以上,曖昧さを無くす必要があるのかも知れませんね。
源 2009-04-27 22:07:16
私が「拡散防止措置チェックリスト」で写真と動画を載せた意図は、他人をあげつらうという意味ではなくて、拡散防止措置違反行為は水面下では多く行われており、調査委員会(sachiさんは「懲罰委員会」と書かれています)のメンバーの研究室でさえ違反をしていたので、決して私一人が特異な例であるわけではない、ということです。
ところで、大学の答弁によると当該実験室では、平成20年9月25日以降現在に至るまで一切遺伝子組換え実験は行われていないことが確認されているそうです。何故、平成21年3月16日の時点で、「遺伝子組換え実験、P1レベル実験中、開放厳禁、関係者以外は立ち入りご遠慮ください」あるいは「関係者以外立入禁止、P1Pレベル組換え植物等栽培中、開放厳禁」の張り紙がしてあるのでしょう?
コメント
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sachiさんのコメントを拝見させていただきました。
『遺伝子組換え生物等の使用をした者,又はしている者が法令違反した場合,1年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金(あるいはその併科)に処されます。』の部分についてですが、
久野研で行われていた実験は(施設内で行い、拡散防止措置をとる)第二種使用なのですが、罰則の条項を見る限り、研究員(学生、教官、実験責任者いずれも)が第十二条を遵守しなかったとしても、第十四条一項に規定される主務大臣命令に背かない限りは、刑罰を科せられることはないと思います。
また、今回の事件を第十五条に規定される「事故」と捉えても、第二項の主務大臣命令に違反しない限り、これまた罰則の対象にはなっていません。
第三十八条に定められている他の条項違反についても、すべて「主務大臣の命令」に対して違反したした場合のみです。(すべての条文が「主務大臣は~」で始まっています)
カルタヘナ法の拡散防止措置については、間接罰方式になっているので、違反したからといって即刑罰ということにはなりません。(書類を申請しなかったり、不正に承認を得た場合は直罰方式になっていて即刑罰のようですが・・・)
そして、第四十五条は第三十八条等の罰則規定が定められている条項に対しての法人責任を定めているので、本件行為が第三十八条の罰則対象にならない以上、法的には教授にも学生にも大学にも罰則が適用されることはないはずです。
(もっとも、tak先生と発覚当時の研究員が大臣命令に背いてなければの話ですが)
ただ、ご指摘のように法律の趣旨としては「実験の責任は実験をしていた学生にも、実験責任者にも、安全委員会にもあるのだ」ということは言えるかと思います(たとえ学生であっても主務大臣命令に違反すれば罰則が適用されうるので)。
私自身も無知の道義的責任は感じております。
なお、大学からの処分はありませんでした(というか、なぜか調査そのものが私には来なかったのですが・・・医学部の授業の一環として過去実験していたから?)
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>元さん
元さんの指摘どおりだと思います。第2種使用の場合,措置命令や報告徴収に応じなかったり,あるいは虚偽の報告をしたり,立ち入り検査を拒否・妨害・忌避したり,質問に対して陳述をしないか,虚偽の陳述した場合に,罰則が加わります。今回の件では,そのようなことがあったとは聞いておりませんから,罰則の対象外だと思います。
しかし,そもそも,主務大臣は法令に基づいてtakさん自身に対して報告処置や措置命令,立ち入り検査等をしたのでしょうか?たとえば法31条を見ると,その第2項に「当該職員は,立ち入り検査をする場合,その身分を示す証明書を携帯し,関係者に提示しなければならない」とあります。takさんは,直接,主務大臣の職員からそのような証明書などを提示を受けたのでしょうか?
報告徴収(第30条),立ち入り検査(第31条)の対象は,遺伝子組換え生物を使用している者,またはした者,譲渡または提供した者,(略),その他の関係者となっていますから,今回の文部科学省の報告徴収や立ち入り検査の対象は,「その他の関係者」つまり安全委員会となるのでしょうか。いや,そもそも,今回の文部科学省の一連の問い合わせや訪問は,カルタヘナ法にもとづく報告徴収や立ち入り検査,経過措置(第37条参照)などでは一切,無かったのでしょうか?
私は,今回の件は,マスコミに追い詰められたtakさんが不用意にしゃべった発言「飲んでも大丈夫」や,廊下に培養器が出ていた期間を実際より短く報告したことなどを,調査委員会が過剰に反応しているように思えます。新聞報道後,多くの大学で学内調査が行われ,培養器などが廊下から「未然に」撤去されたと聞いております。シェーカーが廊下にあるラボは山ほどあります。一人を罰して,万人を戒める,「一罰百戒」とはこういうことかと思います。第二種使用に関する違法な表示を半年も放置した人が調査委員長ですから,倫理や道義などを居丈だけに持ち出して,人を処分できる立場にはないでしょう。せめて「二罰百戒」にしてほしい。6ヶ月の停職は余りに重い。
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>sachiさん
全く同感です。私も6か月は重すぎると思います。
現に他の研究室でも廊下に実験器具を置いていたところは沢山ありましたし、レポートを出しに他の教室に行ったらP1表示がしてある部屋のドアが開放されている、ということは日常茶飯事でした。私も何の違和感も感じていませんでした。
また、一番問題となった廃液の垂れ流しですが、miniprepなど少量廃液の垂れ流しはどこでも普通にやっているという話は、他の研究室に所属している複数の学生から聞きました。
(上の内容は証言してもいいぐらいです)
ただ、LargePrepの大量の廃液を直接下水に流したというのは、私が知る限りは久野研でしか見たことがないです。「厳重注意」や「戒告」ではなく、「停職」という処分が出た理由はそこではないかと考えています。
しかし、それにしても6ヶ月というのは重いですね。私はせいぜい3ヶ月だろうと踏んでいたのですが・・・。まぁマスコミにあれだけ騒がれると、大学の体面を保ち、近隣住民を納得させるにはこのぐらいしないと、ということなのかもしれませんが。
ちょっと脱線になりますが、日本人は微生物や病原体への怖がり方が非常に奇妙です。自分の手や体の中にも何千万、何億と細菌がいるにも関わらず、大腸菌とかウイルスとか聞くだけでヒステリックに怖がる。一方で電車の中で手すりを持ってもその後で手を洗わない。非常に矛盾しているんですよね。新型インフルに罹った高校生にも中傷の電話がかかってきているようですが、中傷する前に自分の手を見たら?と言いたくなります。