親露アカウントの9割、過去に反ワクチン関連ツイート…やっぱり!

親露アカウントの9割、過去に反ワクチン関連ツイート 東大大学院教授分析
ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、日本のツイッター上で「ウクライナ政府はネオナチ」という親露反ウクライナの投稿をリツイートしたアカウントの約9割が、過去に反新型コロナウイルスワクチン関連のツイートをリツイートしていたことが、東京大の鳥海不二夫教授の分析で分かった。

鳥海氏は1月1日~3月5日にツイッターに投稿された約30万ツイートを調査。リツイートの傾向を①ロシアの侵攻について言及②戦争に反対③ロシアを批判④「ウクライナ政府はネオナチ」などと主張-の4つに分類し、分析した。

分析によると、「ウクライナ政府はネオナチ」という主張は確認されただけで228ツイートあり、1万907アカウントで3万342回リツイート。1アカウント当たりのリツイート数は2.8で、他の3傾向(1.4~1.7)より多くなっていた。

さらに、4分類された傾向をリツイートしたアカウントの過去の投稿を分析したところ、「ウクライナ政府はネオナチ」という投稿をリツイートしたアカウントのうち、87.8%が反ワクチン関連、46.9%が米国の陰謀論集団「Qアノン」に関連する主張を過去にリツイートしていた。


以下は、鳥海氏の投稿記事の抜粋です。


ツイッター上でウクライナ政府をネオナチ政権だと拡散しているのは誰か
ツイッター上ではどのようなアカウントがロシアの主張通りウクライナ政府はネオナチであるというツイートをしているのか調べてみました.

クラスタリング
データとしては,ウクライナ関連語(ウクライナ,ロシア,プーチン等)+ナチでツイッター検索したものを利用しました.利用データは2022年1月1日~2022年3月5日までの291,852ツイートです.もちろんこの中にはロシアの主張とは無関係なツイートやプーチン大統領の主張について言及したツイートもあるため,この中から「ウクライナ政府はネオナチ」という主張のツイートを取り出す必要があります.

そこで,リツイートユーザに基づくクラスタリング手法を使ってツイートの分類を行い,「ウクライナ政府はネオナチ」という主張をしているクラスタを取り出せるか確認してみました.

その結果がこちら.

ウクライナ関連語+ナチツイートのクラスタリング結果(著者作成)

大きく4つのクラスタが取得できました.では,それぞれのクラスタの特徴を見てみましょう.

クラスタの分析
Aのクラスタは最も大きいクラスタで,ツイート内容はロシアの侵攻について言及したものでした.148ツイートが40,161アカウントによって72,263回拡散されました.

Bクラスタは戦争に反対するツイート群で,92ツイートが18,458アカウントによって31,622回拡散されました.ナチスという単語は戦争の過去の事例として出てきていました.

Cクラスタはロシアを批判するツイート群で,70ツイートが13,824アカウントによって20,495回拡散されました.こちらはロシアの「ウクライナはナチス」発言への批判が多くありました.

最後にDクラスタは「ウクライナ政府はネオナチである」というロシアの主張を拡散しているツイート群で,228ツイートが10,907アカウントによって30,342回拡散していました.なお,ウクライナのネオナチ部隊に関するツイート群もここに含まれます.

以上をまとめた図がこちら.

各クラスタの拡散数と拡散したアカウント数(著者作成)

1万以上のアカウントがロシアの主張を拡散していたのは個人的には意外でした.ツイート拡散数も3万回以上と比較的多いようです.ただし,1アカウント当たりの拡散数がA~Cが1.4~1.7回くらいなのに対して,クラスタDだけ2.8と大きいようです(下図参照).

 

過去のツイートとの比較(著者作成)

クラスタDの正体
では,クラスタDの拡散しているアカウントはどのようなアカウントなのでしょうか.そこで,過去のツイート群と比較して,クラスタDのツイートを拡散したアカウントがどのような話題を拡散していたのかを調べてみました.

まず,最近陰謀論といえばこれ,というQアノン関係ですが,クラスタDのアカウントの46.9%がQアノン関連のツイートも拡散していたことが分かりました.ちなみにクラスタBのアカウントもそこそこQアノン系を拡散していますが,クラスタBにはいわゆるネトウヨアカウントが多く含まれているようです.

次に,ワクチン接種についてみてみると,他のクラスタでは80%以上のアカウントがワクチン接種関係の話題を拡散しているのに対して,クラスタDだけ68.4%と少なめです.

一方,「ウクライナ政府はネオナチ」という情報を拡散したアカウントの87.8%が反ワクチン関連ツイートを拡散していました.クラスタDのほとんどの方が反ワクチン系だったということになります.ただし,実はこれの逆は成り立ちません.反ワクチン系のツイートを拡散したアカウントのうち,クラスタDに含まれるアカウントは4%にすぎませんので,反ワクチン=クラスタDという訳ではないことにご注意ください.

ちなみに,クラスタA~Cも結構反ワクチン関連ツイートを拡散しているのが気になりますが,そもそも「ナチス」という強い言葉を使うこと自体が一定の特性を持ったアカウントということができるのかもしれません.

最後に,ロシア系ニュースサイト,「スプートニク日本ニュース」のツイートを拡散しているアカウントとの関係を見てみたのですが,これについてはほとんど被りがないことが分かりました.

まとめ
「ウクライナ政府はネオナチ」というロシアの主張に沿ったツイートを拡散しているアカウントを分析したところ,これらのアカウントは反ワクチン系のツイートも拡散しているアカウント群であることが分かりました.


私の周辺(といっても親しい友人ではない)にも、「反ワクチン・親アビガン・親イベルメクチン」から「反バイデン・親ロシア」に変わってきた複数の人がいたので、この記事をみて「やっぱり!」と思いました。そんな主張をしているミュージシャンの一人は、おそらく生計のために「目立ってウケる芸風」として、その人自身の理解に反する行動をとっている可能性があると考えています。

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