コロナワクチンとインフルワクチンの同時接種が、高齢者と若年者の両方で、各ワクチンを単独で接種した場合と同等の有効性があることが示された。

ファイザーのコロナワクチン、インフルワクチンと同時接種の有効性は?
コロナワクチンとインフルワクチンはどのくらい間隔をあけて打ったら良いのか?という質問はよくあります。同時に打っても問題(有害事象)はないというのが公式の答えでしたが、効果についてのエビデンスはなかったようです。以下は、アメリカでの報告についての記事の抜粋です(太字はブログ著者による)。


ファイザーの新型コロナワクチン(BA.4/5対応2価)と季節性インフルエンザワクチンを同時に接種した場合、別々に接種した場合と比べて有効性に差があるかを、米国の18歳以上の約344万人を対象に、ファイザー社のLeah J. McGrath氏らの研究グループが調査した。その結果、コロナワクチンとインフルワクチンの同時接種は、それぞれ単独で接種した場合と比較して同等の有効性があることが示された。

本研究では、2022年8月31日~2023年1月30日に、ファイザーの新型コロナワクチン(BA.4/5対応2価)のみ、インフルワクチンのみ、または両方を同日接種した、米国の民間医療保険に加入している18歳以上の344万2,996人を対象に、後ろ向き比較試験を実施した。1価ワクチンまたは他社の新型コロナワクチン接種者は除外した。65歳以上は、強化型インフルワクチン接種者のみを対象とした。主な転帰および評価基準は、COVID-19関連およびインフルエンザ関連の入院、救急(ED)や緊急診療(UC)の受診、および外来受診とした。ワクチン接種群間の残存バイアスを検出するため、尿路感染と不慮の傷害の2つのネガティブコントロールアウトカム(NCO)を評価した。

主な結果は以下のとおり。

・全344万2,996人(女性57.0%、平均年齢65歳)のうち、62万7,735人がコロナワクチンとインフルワクチンの同時接種を受け、36万9,423人がコロナワクチン単独接種を受け、244万5,838人がインフルワクチン単独接種を受けた。
・65歳以上(221万493人、女性57.9%、平均年齢75歳)において、同時接種群は、コロナワクチン単独接種群と比較して、COVID-19関連入院の発生率が類似していた(調整ハザード比aHR:1.04)。一方、救急や緊急診療の受診(aHR:1.12)と、外来受診(aHR:1.06)の発生率はわずかに高かった。
・18~64歳(123万2,503人、平均年齢47歳、女性55.4%)では、同時接種群は、コロナワクチン単独接種群と比較してCOVID-19関連転帰の発生率がわずかに高く、COVID-19関連入院はaHR:1.55、救急や緊急診療の受診はaHR:1.57、外来受診はaHR:1.14であった。ただし、若年層群では全体的にイベントが少なかった。
・65歳以上では、インフルワクチン単独接種群と比較して、同時接種群はすべてのインフル関連転帰の発生率が低く、インフル関連入院はaHR:0.83、救急や緊急診療の受診はaHR:0.93、外来受診はaHR:0.86であった。
・18~64歳でも高齢者と同様に、インフルワクチン単独接種群と比較して、同時接種群はインフル関連転帰の発生率が同等か、それより低かった。インフル関連入院はaHR:0.92、救急や緊急診療の受診はaHR:1.08、外来受診はaHR:0.76。
・NCOを用いたCOVID-19関連およびインフルエンザ関連の転帰の較正で、一貫してすべての調整ハザード比(aHR)推定値が基準値に近づき、ほぼすべての信頼区間が1.00を横断し、同時接種の有効性に有意な差がないことが示唆された。

本研究により、ファイザーの2価コロナワクチンとインフルワクチンの同時接種が、高齢者と若年者の両方で、各ワクチンを単独で接種した場合と同等の有効性があることが示された。本結果は、今後の秋冬期のワクチン接種キャンペーンにおいて、両ワクチンの同時接種を支持するものとなった。


元論文のタイトルは、”Estimated Effectiveness of Coadministration of the BNT162b2 BA.4/5 COVID-19 Vaccine With Influenza Vaccine(BNT162b2 BA.4/5 COVID-19ワクチンとインフルエンザワクチンとの併用投与の有効性の予測)”です(論文をみる)。

論文をみると試験対象は、インフルエンザワクチンは強化ワクチンのみを打った患者に限定しています「”only enhanced SIVs (ie, high-dose, adjuvanted, or recombinant) “」。具体的には、高容量、アジュバント(抗原性増強剤使用)あるいは遺伝子組換えを用いて作成されたワクチンのみを使用しています。

一方、日本でのインフルエンザワクチン製造会社は「北里」、「KMB」、「デンカ生研」、「阪大微研」の4社ですべて大メーカーではありません。また、孵化鶏卵を用いた旧態依然とした方法で製造しています。日本のインフルエンザワクチンがアメリカでの上記のhigh-dose、adjuvantedのどちらかに該当するのか、どちらでもないのかはわかりません。ですので、日本で使われているワクチンでも同じ効果があるかどうかはわかりません。

2種類のワクチンを同時に打つと、1種類を打った時の半分しか抗体ができないとか免疫力が分散するとかいうのは、エビデンスの無い俗説した。

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