以下は、記事の抜粋です。
金沢大発の医療ベンチャー企業「キュービクス」は6月19日、簡単な血液検査だけで「消化器がん」を発見できる世界初の検査キットの輸出を目指し、欧州人向けの性能試験のためドイツの医療企業に検査キットの提供を始めたと発表した。
同社は、同大医薬保健研究域の金子周一教授らが約2年前に開発した、消化器がんの有無を血中の遺伝子の変化で判別する新技術を使い、「マイクロアレイ」と呼ばれる検査キットを製造。
この検査キットを使えば、2.5ccの血液を採取するだけで、3日で結果が分かるといい、胃がん、大腸がんなどの消化器がんを9割の精度で発見できるという。同社によると、これまでの性能試験は日本人だけに行われてきたため、人種が違っても同様の性能があるかどうかを調べようと、ドイツの企業と共同で試験に臨むことにした。
マイクロアレイは8人分を同時に検査でき、原価が1枚約40万円。キュービクスの丹野社長は「人間ドックのオプションとして需要が期待できる。すでに国内の医療機関からは引きあいもあり、今年度は1億5000万円の売り上げを目指したい」と話した。
元論文は、”Differential gene expression profiling in blood from patients with digestive system cancers”でしょうか?(論文をみる)
この論文では、ヒト抹消血からのtotal RNAの単離にはアメリカ製のPAXgeneというキットを使い、マイクロアレイのハードもソフトもアメリカ製のAgilentのものをそのまま使っています。最初のtraining cohortでは、39例の消化器がん患者(大腸がん11例、胃がん14例、すい臓がん14例)と正常人15例を比較しました。23,278個の遺伝子の発現レベルを調べたところ、がん患者と正常人で発現レベルが3倍以上異なる遺伝子が25個みつかりました。
このような遺伝子発現の差に基づいてがん患者と正常人とが区別できることを確認するために、validation cohortでは、37例の消化器がん患者(大腸がん11例、胃がん8例、すい臓がん18例)と正常人15例を調べたところ、がん患者37例中37例と正常人15例中2例がががん患者のものと思われる発現パターンを示しました。記事の「精度9割」というのは、正常人が正常と判断された割合(87%)だと思われます。
抹消血total RNAから得たマイクロアレイでわかるのは、がん細胞由来ではなく血球細胞由来のmRNA変化です。論文でもそのように書かれています。具体的には、がんに侵された体の免疫系が反応している様子が、血球細胞のmRNAに反映するのだと思います。これで、早期がんの発見ができるのでしょうか?
最近は不景気のせいで企業からのサポートが減少したため、人間ドック受診者数は頭打ち気味だそうです。正常人の1割以上が「消化器がん」に診断されるような検査を、5万円払ってオプションで追加する人が、今年度3000人もいるのでしょうか?
コメント
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tak先生
こんにちは、何時も有難うございます。
要望が御座います。
最近解毒剤のタチオンが抗酸化作用ありパーキン治療にも有益とか、他にも多くの効果があるそうですが今度アップして頂けたらと思います。
taniyan