新型コロナが弱毒化しているという根拠はない

新型コロナが弱毒化しているという根拠はない
以下は、記事の抜粋です。


感染者数は増え続ける中で重症者数や死亡者数が増えないことについて「ウイルスが弱毒化しているため」などという言説が散見されますが、今のところは特に根拠はありません。根拠のない楽観論に惑わされず、必要な対策を続けていきましょう。

確かに現在の入院患者数の1105人、そして重症者数16人となっており入院者数と比べても重症者数の数は多くありません。緊急事態宣言時のピーク時には入院者患者数1413人に対し、重症者数は105人となっていました。比率からすれば重症者数は今は少ない状況と言えます。

しかし、これをもって「ウイルスが弱毒化した」と言えるのでしょうか?結論から言うと、言えません。以下にその理由を述べます。

第1波では診断されていなかった軽症例が診断されている
第1波では、ピーク時には検査陽性率が30%を超えていました。新型コロナに感染しているのにPCR検査が実施されずに診断に至らない事例が相当数あったものと考えられます。現在は、1日当たりのPCR検査数は3600件と10倍ほどに増加しており、検査陽性率も6%台を維持しています。軽症例を含めて感染者が適切に診断されているものと考えられます。第1波では氷山の一角しか診断できていかなった新型コロナが、今では検査体制の強化によってもう少し感染者の全体像が見えるようになってきている状況と考えられます。

重症者は遅れて増加してくる
新型コロナウイルス感染症は発症してしばらくしてから急に悪化します。典型的には、発症から7~10日経ってから悪化してきます。つまり、重症者のピークは今よりも確実に遅れてやってきます。今、重症者数や死者数が少ないのは、まだ重症化する人がしていないだけであり、これから重症者や死亡者は遅れて増えてくるものと思われます。

重症化しやすい年齢層の患者数も、若い年齢層から遅れて増えてきている
今も感染者の中心は20代・30代の若い世代ですが、重症化するリスクの高い60代以上の感染者だけの推移を見ても、明らかに感染者は増加しています。今後、重症者数や死者数が増加することは避けられないでしょう。

第1波のときよりも治療法が確立してきている
最後にもう一つ、第1波のときとの大きな違いがあります。それは現在は新型コロナの治療法がある程度確立してきているからです。例えば、第1波のピークが過ぎた5月7日に国内ではレムデシビルという抗ウイルス薬が使用可能となりました。また、これに加えて、デキサメサゾンというステロイド薬も生存率を改善させることが分かりました。新型コロナで起こる凝固異常についての理解も進み、抗凝固薬も使用されるようになってきました。こうした治療の進歩によって重症化する患者が減っている可能性は十分にあるでしょう。実際に診療をしていて、これまでは人工呼吸管理になっていたようなハイリスク患者が、早期に治療を開始することで人工呼吸管理を回避できるようになってきたという実感があります。

というわけで、現時点で重症者数が少ないのは、

第1波のときよりも軽症例を含めて診断されている

ハイリスク患者が重症化するのはこれから

治療法が確立してきている

ためであり、新型コロナウイルスが弱毒化しているからではありません。また、感染し回復した後も後遺症で悩まされている方も多くいらっしゃいます。決して「感染しても大丈夫」な感染症ではありません。皆さん疲れが出ていると思いますが、引き続き適切な感染対策を続けていきましょう。


今の感染拡大を第2波と呼ぶとすると、確かに第1波と比べると検査も治療も改善されているので、その点は少し心強いですが、現在感染が増えつつあるのも事実で、この状態が続けば日本の医療も持ちこたえられないろ思います。会食や大講義室での講義などの「古い生活様式」をどれだけ捨てられるかが第2波を克服できるかのカギだと思います。

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