長年にわたるヨーグルト摂取は大腸がんリスクを低下させる??

長年にわたるヨーグルト摂取は大腸がんリスクを低下させる?
以下は、記事の抜粋です。


ハーバード大学の鵜飼知嵩氏らの研究で明によると、長年にわたりヨーグルトを週に2回以上摂取している人では、腫瘍組織内にビフィズス菌が検出されるビフィズス菌陽性の大腸がんの発症リスクが20%低いことが示されたという。

鵜飼氏らは今回、ヨーグルトには一般的にビフィズス菌が含まれていることから、長期間のヨーグルト摂取が、組織中のビフィズス菌の量に応じて、腫瘍のタイプごとに大腸がんの発生と異なる関連を示す可能性があるとの仮説を立て、検討した。対象は、1976年に30〜55歳の女性看護師を登録して開始されたNurses’ Health Study(NHS)と1986年に40〜75歳の男性医療従事者を登録して開始されたHealth Professionals Follow-up Study(HPFS)から抽出した13万2,056人であった。対象者は、2016年1月1日まで追跡された。

追跡期間中に3,079人が大腸がんを発症していた。このうち、腫瘍組織中のビフィズス菌量についての情報が完備したのは1,121人で、うち346人(31%)はビフィズス菌陽性、775人(69%)はビフィズス菌陰性だった。解析の結果、大腸がんのリスクとヨーグルトの摂取量との間に統計学的に有意な関連は認められなかったものの、週に2回以上ヨーグルトを摂取する人では、1カ月の摂取頻度が1回未満の人に比べてビフィズス菌陽性の大腸がんリスクが20%低下する可能性が示唆された(調整ハザード比0.80、95%信頼区間0.50〜1.28)。一方、ビフィズス菌陰性の大腸がんリスクについては、明確な低下は認められなかった(同1.09、0.81〜1.46)。このようながんのタイプによる関連の違いは、近位大腸がん(盲腸、上行結腸、横行結腸)においても確認された。


元論文のタイトルは、”Long-term yogurt intake and colorectal cancer incidence subclassified by Bifidobacterium abundance in tumor(ヨーグルトの長期摂取と大腸がん罹患率、腫瘍中のビフィズス菌量によるサブクラス分類)”です(論文をみる)。

論文には、ビフィズス菌陽性は346例(31%)、ビフィズス菌陰性は775例(69%)と書かれています。また、ヨーグルト摂取量が多いと報告した参加者は、総葉酸、カルシウム、ビタミンDの摂取量が多く、S状結腸鏡検査/内視鏡検査の既往歴が高く、身体活動量が多く、喫煙や加工肉や赤身肉の摂取が少ない傾向があったと書かれています。こういう交絡因子を含めての結論としても、単純にヨーグルトを食べると大腸がんリスクが低下するという単純な結論は難しいと思います。

また、ビフィズス菌には腫瘍抑制効果があると示唆されていますが、乳酸菌については調べられていません。免疫力を高めると謳っているヨーグルトの大半はビフィズス菌ではなく乳酸菌です。以下のような記事もあります。怪しいのは小林製薬だけではありません。

ヨーグルト&乳酸菌でコロナを予防?免疫力を巡る「科学マーケティング」の巧妙さ

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