魚卵は鳥に食べられても生きたまま糞から出てくると判明! 孤立した湖や池に魚が住む理由

魚卵は鳥に食べられても生きたまま糞から出てくると判明! 魚は糞によって別の湖に移動していた
孤立した湖や池に魚はどうやって移動する?という疑問が解決したようです。以下は、記事の抜粋です。


鳥に食べられることで植物の種のように、魚の卵は別の湖に拡散する

植物の実が鳥に食べられて、種を遠くに運ぶことはよく知られています。しかし新たに行われた研究では、魚の卵もまた、鳥に食べられることで別の湖に運ばれることが示唆されました。

鳥に大量の卵を食べさせる実験を行った結果、魚の卵は鳥の消化機能を生き延び、糞として排出された後に孵化することが確認されたのです。

標高の高い位置にある、完全に孤立したカルデラ湖やクレーター湖に魚はどうやってやってきたのだろうか?淡水湖の生態系を調べている研究者にとって、孤立した湖に存在する魚の存在は長い間、謎でした。特に標高の高い場所にあり、他の湖と川で繋がっていないカルデラ湖のような湖は、外部から魚が侵入する余地はありません。しかしどんなに孤立した湖にも、近くの淡水系と遺伝的に近い魚が住み着いています。

ハンガリー、ドナウ研究所のÁdámLovas-Kiss氏は、植物の種の拡散を模倣した、独自の仮説を構築しました。すなわち、魚の卵も植物の種のように、鳥に食べられることで他の湖に拡散している…とする仮説です。

仮説の証明にあたり、氏は、魚の卵を500個集め、8羽のカモに食べさせました。食べさせた卵は侵略的外来種として知られている2種類のコイ科の魚(ギベリオブナとヨーロッパ鯉)でした。そして、カモが糞をするのを待ち、糞から卵を探しました。結果、6匹のカモから18個の形状的に無傷な卵の採取に成功し、そのうち12個は十分生存に足る状態でした。12個の卵のうち2個から稚魚がうまれてきました。

2匹のうち1匹はギベリオブナで、もう1匹はヨーロッパ鯉の稚魚であり、生存率を計算したところ0.2%であることがわかりました。この数値は決して高くはありませんが、長い時間を考えれば、孤立した湖に卵を運ぶには十分な数値です。

また一部のコイは単為生殖を行うことが知られており、1匹のメスの稚魚から多くの子孫をうみだすことが可能とされています。

今回の研究により、食べられることで繁殖する能力が、脊椎動物でも確認されました。鳥は魚の卵を湖から他の湖に運ぶ箱舟としても機能していたのです。メダカやコイは分厚い卵膜をもっており、この分厚い卵膜が干ばつや天敵の消化液から卵を守ってくれるようです。


元論文のタイトルは、”Experimental evidence of dispersal of invasive cyprinid eggs inside migratory waterfowl”です(論文をみる)。

孤立した湖に魚がいるのは不思議でした。ヒトや鳥が魚の成体を運んだと思っていましたが、こんな可能性にはまったく考えが及びませんでした。面白い研究だと思います。

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