衝動性の強い人は、中脳のD2/D3ドーパミン受容体が少なく、線条体でのドーパミン放出が多い?

Dopaminergic Network Differences in Human Impulsivity

以下は、論文要約の抜粋です。


長い間、ドーパミンはヒトの衝動性と関連があると思われてきたが、ヒトのドーパミン神経伝達と衝動的性格を結びつけるメカニズムについては、ほとんど不明だった。

健常人ボランティアにD2/D3受容体リガンドの[18F]fallyprideとアンフェタミンとを投与し、デュアルスキャンPET (positron emission tomography)を用いて解析した結果、中脳のD2/D3自己受容体が少なくアンフェタミン投与により線条体で多くのドーパミン放出がおこるようなヒトは、衝動的な性格であることが予測でき、このような特徴は、薬物中毒にも関係することが明らかになった。

中脳のD2/D3自己受容体の減少は、線条体のドーパミン遊離を介して衝動的な性格に影響することが確認された。


健常人ボランティアに対して、Barratt衝動性スケール(BIS-11)、PETを用いた中脳領域への[18F]fallypride結合、アンフェタミン投与による[18F]fallypride結合の変化、の3つを調べた実験です。

線条体での[18F]fallyprideは、D2およびD3受容体に結合しますが、黒質-線条体路のドーパミン神経終末からドーパミンが放出されるとその結合が拮抗されます。アンフェタミンを経口投与すると大量のドーパミンが神経終末から放出されるので、[18F]fallypride結合は減少します。この原理に基づいて、アンフェタミン投与時の[18F]fallypride結合を測定し、線条体でのドーパミン放出を計算しています。

一方、同じ[18F]fallypride結合でも、黒質などがある中脳の場合は、シナプス前に局在してドーパミン放出を調節する自己受容体がおもに標識されるそうです。この受容体にシナプス間隙に放出されたドーパミンが結合すると、ドーパミンの遊離が抑制されます。小さなネガティブ・フィードバックループを形成しています。

これらを測定した結果、Barratt衝動性スケールと中脳領域への[18F]fallypride結合が負に相関し、ドーパミン放出とは正に相関しました。

研究者らは、衝動的なヒトは、自己受容体が少なく、ネガティブ・フィードバックの効きが悪いと結論しています。ドーパミン放出が多いのは自己受容体が少ないためだと考えているようです。

1つのPETリガンドでいろいろな情報が得られるおもしろい実験だと思うのですが、日本でアンフェタミンをこんなふうに使う実験はできるのでしょうか?

下は、同じグループの論文”Amphetamine-Induced Displacement of [18F] Fallypride in Striatum and Extrastriatal Regions in Humans“に載った[18F]fallyprideのPET像です。a)視床レベル(線条体への結合)、b)中脳レベル(黒質)、c)側頭葉鉤レベル(扁桃体)、d)下側頭皮質レベル(下垂体と側頭皮質)

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