ビタミン剤「たくさん取れば健康になる」という誤解

ビタミン剤「たくさん取れば健康になる」という誤解
サプリ好きのヒトに是非読んでもらいたい記事です。以下は、記事の抜粋です。


ビタミンは体に良さそうというイメージがあって、たくさん取ればその分健康になるし、少なくとも害はないと思われているふしがあります。しかし、場合によってはビタミン剤が死亡を増やすことをご存じでしょうか。

以前から、野菜をたくさん食べる人はがんになりにくく、長生きしやすいことが知られていました。そこで「野菜に含まれる何かが、がんを予防している」という仮説が提唱されました。ベータカロテンは野菜に豊富に含まれる色素で、体内でビタミンAに変化します。

ベータカロテンには抗酸化作用があります。DNAを傷つける活性酸素を中和して体内から取り除くことで、がんを予防するのかもしれません。また、血清のベータカロテン濃度を測ってみると、濃度の高い人はそうでない人と比べてがんにかかりにくいこともわかりました。

1994年に発表されたフィンランドでの研究では、肺がんのリスクの高い男性喫煙者を約3万人集めて、ランダムに4群にわけ、ベータカロテンとビタミンEを摂取する群、ベータカロテンのみを摂取する群、ビタミンEのみを摂取する群、プラセボのみを摂取する群に分けました。バイアスが生じないよう参加者も研究スタッフも、誰が実薬を飲んで誰がプラセボを飲んでいるのかわからないようにしました。二重盲検ランダム化比較試験という質の高い研究です。

研究者は当然、ベータカロテンが肺がんを予防することを期待していました。ところが、反対に、ベータカロテンを摂取していた群では摂取していなかった群よりも肺がんの発症率が高かったのです。発症だけでなく肺がん死亡も総死亡も多く、少なくとも喫煙者にとってベータカロテンのサプリメントは有害と言えます。ビタミンEのサプリメントにはそのような害はありませんでしたが、がんを予防する効果もありませんでした。

世間の風潮はサプリメントに甘すぎやしませんか?薬やワクチンは、因果関係の有無が議論になるようなまれな副作用でも問題視され、薬害だとして裁判が起こったり、積極的な推奨が中止されたりします。一方でベータカロテンのサプリメントは今でも普通に売られています。喫煙者に害になる可能性がある、なんて注意書きはありません。


元論文のタイトルは、”The effect of vitamin E and beta carotene on the incidence of lung cancer and other cancers in male smokers”です(論文をみる)。

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