以下は、記事の抜粋です。
2016年1-9月の太陽光関連事業者の倒産は42件(前年同期比10.5%増)に達した。このままのペースで推移すると、年間最多の2015年の54件を上回り、調査を開始した2000年以降で最多を記録する勢いで推移している。
2011年3月の東日本大震災後、電気料金の高騰や2012年7月の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度が導入されたことから、太陽光発電に注目が集まった。これを契機に業態転換や法人設立が相次ぎ、多くの事業者が参入してきた。政府も自給エネルギーの確保と低炭素社会の実現に向け、化石燃料や原子力に依存し過ぎないエネルギーミックスを推し進めてきた。
だが、買い取り価格の段階的な引き下げで市場拡大のペースが鈍化したほか、事業者の乱立などで競争が激化し事業が立ち行かなくなる業者が続出。成長が見込まれた有望市場から一転し、2015年を境に倒産が急増している。
成長市場として規模拡大が見込まれていただけに、実現性を欠いた安易な事業計画で参入したり、過小資本で参入したが業績の見込み違いから倒産するケースや、想定よりも市場規模が拡大せず思い描いた受注を獲得できず行き詰まるケースが多い。
買い取り制度導入当初、太陽光発電は他の再生可能エネギーより買い取り価格が優遇され、計画から稼働まで短期間で済むため、メガソーラーの運営やソーラーシステム装置の販売、設置工事など多様な形態で参入が相次いだ。だが、段階的な買い取り価格引き下げや同業者の増加で太陽光バブルは終焉を迎え、淘汰の時代に入っている。
2016年5月25日に成立した改正再生可能エネルギー特措法では、事業用の太陽光発電について2017年4月以降に入札制度を導入する方針が打ち出された。「事業用」に関連した太陽光関連事業者の収益環境は、今後悪化する可能性も出てきた。
「再生可能エネルギーの導入促進」と「賦課金の抑制による国民負担の低減」のはざまで経営難に陥った太陽光関連事業者への対応も必要になるかも知れない。市場の急激な変化の中で、波に乗り切れない中小規模の太陽光関連事業者の淘汰は、しばらく続く可能性が高い。
2012年の4月に書いた以下の関連記事で紹介しましたが、藤沢数希氏はアゴラで「太陽光発電の強制買い取り価格42円/kWh、20年間保証の異常」という記事を書いてこの問題を議論しました(記事をみる)。
藤沢氏だけではなく、当時参入した業者の多くも強制買い取り価格の42円/kWhが20年間続くと思っていたはずです。しかし、これは誤りで、買い取り制度は20年続くけれども買い取り価格は変わるかもしれないということでした。現在、大規模太陽光発電の買い取り価格は24円/kWhまで下がっています。藤沢氏も含めて多くの「知識人」が誤解した詐欺のような制度導入でした。
私もだまされましたが、関連記事に書いた以下の予測はあたりそうです。「そのうち、休耕田ではなく、朽ち果てたメガソーラーが日本全国に点在する光景が一般的になるのではと心配しています。」
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