フォン・ウィルブランド(von Willebrand)病

フォン・ウィルブランド(von Willebrand)病
友人にこの病気のヒトがいるので、勉強のためにメモしておきます。


血友病に次いで多い遺伝性出血性疾患で、平成25年度血液凝固異常症全国調査(厚生労働省委託事業)によると現在本邦には1084人のVWD患者が存在します。一部を除き常染色体優性遺伝形式であるため男女共に発症します。以下は、別の記事からの抜粋です。

フォン・ウィルブランド病(VWD : von Willebrand disease)は遺伝性の出血性疾患です。血友病の類縁疾患ですが、ほとんどが男性に生じる血友病とは異なり、男女に同じ割合で生じます。また多くの場合、血友病よりも軽症です。症状としては、鼻出血などの粘膜出血、皮下出血、月経過多が多く見られ、抜歯や手術時の出血の多さでフォン・ウィルブランド病と初めて診断されるケースもあります。一部の重症例でのみ、血友病と同じ関節出血などが生じます。

フォン・ウィルブランド病は、その原因となるフォン・ウィルブランド因子(VWF : von Willebrand factor)の遺伝子が変異し、量的な産生低下または質的に異常なタンパク質が作られるために生じます。 VWFは、血管の内皮細胞や血小板の元になる骨髄巨核球の中で作られます。分子量約25万のタンパク質がVWFの基本単位です。VWFは、血管の内皮細胞の中で重合して、分子量約50万の二量体(ダイマー)が作られ、これらが更に重合して分子量約2000万以上の多量体(マルチマー)ができて、血液中に放出されます。一次止血には、VWFの高分子の多量体(マルチマー)が大変重要な働きをします。これがないと一次止血がよく働きません。

下図に見るように、血管が破れると、血管の底部にあるコラーゲンという線維状のタンパク質がむき出しになり、VWFマルチマーと結合します。次に、このVWFマルチマーは血小板と結合し、血小板が血管の破断部をふさいでいきます。更に、血小板同士が結合し(「血小板凝集」)、傷口を固めます。

フォン・ヴィレブランド病は、下表に見るように、その原因となる血漿タンパク質のVWFにどのような異常があるかによって大きく3つの型に分類され、それぞれの型に応じて治療が行われます。

フォン・ヴィレブランド病の多く(約9割)は、1型、2型で見られるように軽症から中等症の出血症状を示し、3型の患者さん(約1割)が重症の症状を示します。下表は、VWD患者さんの各種の臨床状況でのVWF/第Ⅷ因子製剤の投与量の例を示しました。投与量の単位は、製剤がもともと血友病A患者さんのものであったため、第Ⅷ因子の活性で表示されています。


治療としては、上記のように出血がおきた時にVWF/第Ⅷ因子製剤を投与して止血を待つしかないようです。身体のどこで出血がおきるか、何時起きるかもわからないので患者さんはとても不安だと思います。

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