以下は、記事の抜粋です。
米国の研究者らが11月2日、臨床試験段階にあるアルツハイマー病の新薬について、有害な副作用が認められず、薬剤として期待が持てるとする論文を発表した。
論文によると、初めは軽度から中程度のアルツハイマー病患者32人を対象とした研究が行われ、現在は3000人以上の患者が実験に参加して、より広範囲な2つの臨床試験が進められているという。
治療に使用されているベルベセスタットには、BACEIとして知られる酵素を阻害することにより、ベータアミロイドと呼ばれるタンパク質の量を減らす働きがある。
これまでにもBACEI酵素を中和するために開発された薬剤はあったが、肝機能障害や神経変性など非常に有害な副作用を生じていた。 臨床試験は現在、「フェーズ3」まで進んでおり、2017年7月に結論が出されることになっている。結果が良好であれば、ベルベセスタットは2~3年後には市販薬として販売される可能性がある。
元論文のタイトルは、”The BACE1 inhibitor verubecestat (MK-8931) reduces CNS β-amyloid in animal models and in Alzheimer’s disease patients”です(論文をみる)。
ベルベセスタット(verubecestat、開発名MK-8931)は、その開発名からわかるように、米国メルク社の薬です。
ラットとサルの実験では、ベルベセスタットの投与により、血清中、脳脊髄液中、脳中すべてにおいてβ40、Aβ42、sAPPなどのアルツハイマー病の原因と思われるベータアミロイドが減少したそうです。さらに、ラットとサルに臨床用量の40倍以上のベルベセスタットを投与しても、副作用が認められなかったそうです。
ベルベセスタットは、ヒトにおいても副作用を起こすことなく、健常者とアルツハイマー病患者の脳脊髄液中のβ40、Aβ42、sAPP量を減少させたそうです。
あとは、認知機能の低下を阻止できるか、できれば改善できるかです。「フェーズ3」の結果に期待しましょう。
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