ビタミンAサプリが免疫系の「過去」を清算する?
以下は、記事の抜粋です。
ビタミンAのサプリメントは、それが欠乏している人にとっては大きな健康効果が見込めるが、ビタミンAサプリメントによって正常値以上の血中濃度になると、副作用が起こる可能性が高い。
種々の病原体などに対して身体が作り出した免疫が失われる可能性があるというのである。研究チームは、ボランティアから採取した免疫細胞をビタミンAで刺激したとき、サイトカインの産生が減少することを発見したという。
免疫細胞は、微生物の種々の成分に反応してそれに対抗するための機能を記憶して、次回の感染に備える。ところがビタミンAの存在下でこれを実験したところ、微生物の成分が免疫細胞を活性化しなくなることが明らかになったという。
元論文のタイトルは、”Vitamin A induces inhibitory histone methylation modifications and down-regulates trained immunity in human monocytes”です(論文をみる)。
今回報告された事実はそれほど大きな問題ではないかもしれませんが、これまでの報告を総合すると、以下に説明するように、普通のヒトはビタミンAサプリを摂らない方が安全です。
まず、「ビタミンAの多い食品」をみれば分かるように、よほど偏った食事をしていない限り、ビタミンA不足にはなりません。むしろ、鶏や魚のキモ(肝臓)が好きなヒトは摂りすぎに気をつける必要があるほどです。
次に、広く信頼されている「メルクマニュアル医学百科」の「ビタミンA」には、以下のように書かれています。
長期間にわたってビタミンAの過剰摂取を続けると、髪の毛が荒れ、部分的な脱毛(まゆを含む)が生じ、唇がひび割れ、肌が乾燥して荒れ、皮膚がむけることもあります。さらに、激しい頭痛、脳内の圧力(頭蓋内圧)の上昇、全身の筋力低下が起こります。特に小児では、骨や関節の痛みが生じます。特に高齢者では、容易に骨折が起こります。
どうです、これでもまだビタミンAのサプリを毎日飲む気がしますか?
コメント
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いつも楽しく拝見しております。
食品安全委員会のファクトシートにも、ビタミンAの過剰摂取についてわかりやすくまとめられております。ぜひ、ご参照ください。
(http://www.fsc.go.jp/sonota/factsheet-vitamin-a.pdf)