「子宮筋腫を切り取る手術の90%は腹腔鏡下で行えるにもかかわらず、婦人科医の多くはそうしていない」アメリカ。日本も似たようなものか?

半数近くの女性がかかるのに謎だらけな子宮筋腫、スイカ大にも…より体への負担が少ない手術も登場、リスクを下げるライフスタイルとは
以下は、記事の抜粋です。


65歳の女性の骨盤を撮影した着色X線画像。子宮内に石灰化した筋腫(中央の青い部分)が確認できる。子宮筋腫は線維組織と筋肉組織からなる良性の腫瘍であり、ほとんどの場合治療の必要はないものの、出血や痛み、その他の婦人科疾患を引き起こす可能性がある。(PHOTOGRAPH BY SCIENCE SOURCE)

米国では白人女性の約70%、黒人女性の80%以上が、50歳までに子宮筋腫ができると推定される(日本では生涯に30~50%がかかると推定される)。しかし、子宮筋腫にはいまだに多くの疑問が残されており、なぜ発生するのか、何が成長を促すのかといった基本的なこともわかっていない。

子宮筋腫は、子宮壁の内側にできる平滑筋細胞と結合組織の塊だ。筋腫が大きくなると、女性の生活の質と妊娠可能性に重大な影響を及ぼす可能性があり、米国では子宮摘出手術の最も一般的な理由となっている。

科学者らはいまだに、子宮筋腫がどのようにできるのか、スイカほどの大きさになる場合がある一方で小さいままのものもあるのはなぜなのか、どうすれば予防できるのか、治療によって妊娠可能性にどのような影響が出るのかといった重要な疑問を解明できていない。

資金援助が少ないせいで、子宮筋腫の研究に使う良質なマウスモデルさえ作成できていないとミシガン大学のマーシュ氏は言う。米国NIHからの年間1700万ドル(約27億円)という資金の規模は、研究対象の疾患の中で下位に位置する。

子宮筋腫の症状は、一般に以下の4つに分類される。月経量が多くなる、子宮のサイズと重量が増えることによる骨盤の圧迫感・頻尿・便秘(まとめて「圧迫症状」と呼ばれる)、月経中や性交時の激しい痛みや骨盤痛、そして不妊だ。

多くの場合、治療は月経の量を減らすための薬の処方から始まる。経口避妊薬などの薬のほか、ホルモンを放出する子宮内器具が使われる場合もある。子宮筋腫を小さくするために性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)薬が使われることもあるが、更年期障害のような副作用が引き起こされたり、骨密度が下がったりするため、米国産科婦人科学会は、この薬の使用を2年未満に制限するよう勧めている。

もうひとつの一般的な治療は、「子宮動脈塞栓術」によって、子宮筋腫への血液の供給を止める方法であり、足の付け根からカテーテルを入れて行われる。一般に、妊娠する可能性を維持したい人には推奨されない。

より新しい治療としては、熱を利用して子宮筋腫を小さくする「ラジオ波焼灼療法(RFA)」があり、これは一般に腹腔鏡下で行われる。26人の女性を対象に行われた研究では、手術から3カ月の時点で月経の出血が大幅に減ったことが示されている。

子宮筋腫はまた、手術によって切り取ることも可能だ。婦人科医にはこの手術を行う十分な技術があるが、子宮筋腫が大きい場合でも、体への傷や負担の少ない低侵襲婦人科手術を行う病院を紹介してもらうべきだろう。2023年に学術誌「Health Equity」に発表された論文によると、子宮筋腫を切り取る手術の90%は腹腔鏡下で行えるにもかかわらず、婦人科医の多くはそうしていないという。

金銭的な動機や訓練不足を理由に、すべての選択肢(内科的、放射線学的、外科的な治療のどれを使うか)について患者と話し合わない医師や、まだ子どもを産みたいと考えるかもしれない女性に対して妊娠の可能性に影響する処置を行う医師を、低侵襲婦人科手術を専門とする医師たちは批判している。

子宮筋腫は、治療後数年で再発するケースが少なくない。年齢の若い人、複数の筋腫を持つ人、子宮肥大のある人、別の骨盤内の疾患を持つ人は、再発のリスクが最も高い。

唯一の確実な治療法は、筋腫を含めた子宮全体の手術による摘出だ。おそらくはほかに永続的な治療法が存在しないことを理由に、過去6年間に筋腫を切り取る手術を受けた女性の8%、UAEを受けた女性の18%が、最終的に子宮の全摘出手術を受けている。しかし、専門家は、子宮筋腫は急を要するものではないので、より体への負担が大きい処置に進む前に、薬物療法やホルモン放出子宮内器具から段階的に試してみる治療を考慮するよう勧めている。

予備的な研究では、ビタミンDの不足と子宮筋腫にかかっている人の割合との相関が示されている。ほかの興味深いサプリメントとしては、ポリフェノールの一種で、緑茶に含まれる「エピガロカテキンガレート(EGCG)」がある。培養細胞や動物実験では、EGCGが子宮筋腫細胞の成長を妨げることがわかっている。

子宮筋腫のリスクを下げる要因としては、野菜中心の食事、アルコールの量を減らす、週4回以上の激しい運動、フタル酸エステル類(食品包装や特定の化粧品、柔軟性のあるプラスチック製品などに含まれる)をできる限り避けることなどが挙げられる。

マーシュ氏は、子宮筋腫の研究がその影響の大きさに見合う資金援助を受けられる日が来ることを期待している。氏はまた、子宮筋腫の発生メカニズムや、ほかの治療法に関するさらなる研究が行われること、そして、子宮筋腫が女性たちの生活に及ぼす深刻な影響への理解が科学者の間で進むことを望んでいる。


「子宮筋腫を切り取る手術の90%は腹腔鏡下で行えるにもかかわらず、婦人科医の多くはそうしていない」というのは、おそらく日本も同じだと思います。また、「子宮筋腫の研究がその影響の大きさに見合う資金援助」を受けていないのは、日本も同じだと思います。「少子化の改善につながる!」とか叫んでみてはどうでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました