花火は「持続不可能」か?ドローンショーは?

花火はもはや「持続不可能」か、ドローンショーは解決策になる?…米国はじめ世界各地で進む置き換わり、それぞれのリスクとは
以下は、記事の抜粋です。


今、米国の各地、そしてこれまで花火を打ち上げてきた世界各地のイベントで、花火を中止するケースが増えている。代わりに夜空を彩るのは、ドローンの大群が一斉に描き出すアニメーションだ。

ドローンショーが増えているのは、今ドローンへの関心が高いからとも言えるだろう。しかしドローンショーを推進する人々は、人にも動物にも環境にも悪影響を及ぼす花火はもうやめるべきだと言う。 はたして、ドローンショーは花火にとって代わるのだろうか。それとも大きな「壁」のせいで、一瞬の輝きで終わってしまうのだろうか。

オーストラリア、カーティン大学のビル・ベイトマン准教授らは、2023年1月に発表した論文の中で、花火の「非常に有害な」影響について書いている。それによると、花火の突然の光と音は、鳥にねぐらや巣を放棄させ、他の動物の繁殖にも影響を及ぼすという。

原因の1つは驚愕反射にある。突然の刺激を受けた時、筋肉が収縮し、まぶたが閉じられ、脈が速くなるといった無意識の反応だ。ツルの幼鳥が大きな音に驚いて、まだ飛べないのにもかかわらず巣から飛び出したという記録もある。予測のつかない花火の光や音で、戦闘経験のある人は辛い体験や記憶を思い出し、花火が終わったあとも長期にわたり不安感や過覚醒に悩まされる可能性がある。

米国消費者製品安全委員会の記録によると、2023年に花火が原因で9700人が救急救命室に運び込まれ、8人が死亡した。花火を誤って使用したケースがほとんどだった。

気候変動と温暖化が進む現在、花火の危険性はさらに増している。合法的な花火であっても深刻な山火事につながる恐れはある。火災防止に取り組む非営利組織「全米防火協会」によると、米国では2018年、花火が原因で1万9500件の火災が発生、1億500万ドル(約170億円)に上る物的損害が生じたという。

また、花火は大気汚染の原因となると同時に、大量の重金属を残留物として大気、土壌、水中に残す。このように、花火をやめるべき理由は明白だ。しかしドローンショーが花火に取って代わることは可能だろうか?

ドローンは光害の原因になる。さらに製造過程で汚染物質と温室効果ガスを排出する。飛行中、野生動物との衝突もある。ベイトマン氏らは、生息地の上空を飛ぶドローンから悪影響を受ける動物もいると論文に書いている。とはいえドローンショーは花火大会に比べ圧倒的に低公害で、しかもドローンが再利用できることを考えれば、今のところ花火大会に代わり得る魅力的で持続可能な候補と言えるだろう。

ドローンショーは今後も拡大していくだろう。しかし、大きな壁がひとつある。ドローン最大手である中国の大疆創新科技有限公司(DJI)が製造するドローンが米国で禁止されれば、その流れも止まるかもしれない。米国議会は、中国製のドローンを禁止する法案を提出している。2022年の時点で、米国で使用されているドローンの58%をDJI製が占めている。もしこれらが禁止されれば、花火大会に取って代わり始めたドローンショーも中止を余儀なくされるだろう。

夜空に輝くドローンショーも花火と同じくらいはかないものになるかもしれない。米国で楽しむなら今のうちだ。


確かに、海からかなり離れた私の家でも海辺で行われている花火大会の音は良く聞こえます。しかし、花火が人にも動物にも環境にも悪影響を及ぼすなどとは考えてもみませんでした。日本の花火大会がどうなるか?その行方を見守りたいと思います。

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