リオシグアト類似薬による可溶性グアニリルシクラーゼの活性化が肥満マウスの減量を促進する

【肥満】体内での脂肪の燃焼を促進する新たな薬物?
以下は、記事の抜粋です。


Alexander Pfeiferたちは、肥満マウスの体内における褐色脂肪とベージュ脂肪の生成が、可溶性グアニリルシクラーゼ(sGC)という酵素によって駆動される細胞内シグナル伝達経路によって活性化されることを明らかにした。また、sGC刺激剤を肥満マウスに実験的に注入したところ、脂質の燃焼量が増え、その結果、白色脂肪(貯蔵脂肪)が減少したためにマウスの体重が減った。

sGC刺激剤は、ヒトでは検証されていない。しかし、Pfeiferたちは、sGC刺激剤が肺高血圧症の治療薬として最近承認されたリオシグアトと同じクラスの薬剤であり、化学的に類似していることから、安全性プロファイルも良好な可能性があると考えている。さらに、Pfeiferたちは、今回の研究結果から肥満と一部の肥満関連疾患の治療薬の候補が得られることを期待している。


元論文のタイトルは、”Stimulation of soluble guanylyl cyclase protects against obesity by recruiting brown adipose tissue”です(論文をみる)。

本論文で用いられたBAY 41-8543という薬物だけではなく、一酸化窒素(NO)ドナーとよばれる可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)を活性化する薬物にも褐色脂肪とベージュ脂肪を増やす作用があるそうです。

BAY 41-8543は、以前に関連記事で紹介したリオシグアト(riociguat)と同じクラスとされています。ということは、内因性一酸化窒素(NO)に対する可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の感受性を高める作用と、NO非依存的に直接sGCを刺激する作用の2つの機序を介して、環状グアノシン一リン酸(cGMP)の産生を促進する薬物だと思われます。リオシグアトは、血管拡張作用をもち、世界で最初にCTEPH(慢性血栓塞栓性肺高血圧症)に対して適応が認められた経口薬です。

リオシグアトの主な副作用は、頭痛(19.0%)、消化不良(14.7%)、浮動性めまい(13.3%)、低血圧(8.8%)と報告されています。リオシグアトもBAY 41-8543もヒトでの抗肥満作用はまだ確認されていませんが、あれば面白いかもしれません。

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