九州大、線虫を用いて尿1滴からがんを検出する技術を開発
以下は、記事の抜粋です。
九州大は3月12日、線虫は尿によって高精度にがんの有無を識別することができると発表した。実用化されれば、尿1滴でさまざまな早期がんを数百円で高精度に検出できるようになる。
同大理学および医学研究院と伊万里有田共立病院らの研究グループによる研究が3月11日付けのPLOS ONE誌に掲載された。
今回の研究では、線虫ががん細胞に特有の分泌物の匂いに反応することが判明。その後、血液よりも診断が容易である尿に対する反応を調べたところ、がん患者の尿には誘引行動を、健常者の尿には忌避行動を示すことがわかった。また、テストをした数十種類のがんすべてに反応を示しただけでなく、早期がんに対する反応も確認された。さらに、線虫を利用したがん診断テストを実施したところ、感度(がん患者をがんと診断できる確立)は95.8%、特異度(健常者を健常者と診断できる確立)は95.0%だった。
今後は、がんの有無だけでなく種類まで特定できるような技術の開発を進めるとのことで、すでに特定のがんだけに反応しない線虫を作製することに成功しているという。
元論文のタイトルは、”A Highly Accurate Inclusive Cancer Screening Test Using Caenorhabditis elegans Scent Detection”です(論文をみる)。
野生型の線虫(Caenorhabditis elegans)と患者の尿を用いて線虫の尿に対するchemotaxisを調べたら、がん患者の尿には引き寄せられ、生常人の尿からは遠ざかるという極めて明瞭な結果です。
これらの実験結果が正しいとしても結論を正当化するためには、健常者とがん患者だけではなく、他の病気の患者をコントロールとして調べる必要があると思います。
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