23andMe社が新薬開発へ進出?

Googleが支援する遺伝子解析サービス「23andMe」が顧客の遺伝子情報で新薬の開発へ
以下は、記事の抜粋です。


遺伝子解析サービスの「23andMe」が、新たにユーザーから送られてきた膨大な遺伝子情報を元に、新薬の開発を行っていくことが判明しました。

23andMeは、同社の遺伝子検査キットでユーザーが唾液を採取して送ると、全120種の遺伝子項目について検査してくれ、1項目あたり約161円、従来の約50分の1という安さで病気の潜在的リスクを調べてくれるというビジネスを展開していました。

しかし、2014年11月22日にFDAから「基準を満たしていない」としてキット販売の禁止を命じられました。その後、2015年2月にブルーム症候群に限定してFDAの認可を得ました。その23andMeがジェネンテックで15年間研究を行ってきたリチャード・シェラ-氏を最高科学責任者として迎え、次のフェーズに入ったとのこと。製薬会社と手を組み、ユーザーから送られてきた遺伝子情報をもとに、新薬を開発することになるそうです。

23andMeは85万人のユーザーから送られてきた膨大な遺伝子情報を持っていますが、これからは遺伝子データの中から病気の原因を発見することに加え、それを治療する薬を作ることまで視野に入れているようです。

23andMeはまだ、どの分野の新薬開発を行っていくかというターゲットを絞っておらず、新薬開発について手を組んでいく製薬会社も決まっていません。


このニュースは、3月12日、23andMe社が行った記者発表に基づいています(記者発表をみる)。他にも「米遺伝子検査企業23andMe、顧客の遺伝子データで創薬へ」というWSJの記事や「23andMe社が新薬開発へ進出」というヤフーの記事もあります。これらの記事は、23andMeが製薬企業になるかのような印象を与えますが、そうではないと思います。

記者発表でも創薬とは書いていません。”Create Therapeutics Group”と書いているだけです。文中にも、” The creation of a therapeutics group in connection with 23andMe’s research platform, which is currently the world’s largest consented, re-contactable database, is a significant step forward to better understanding the biological mechanisms of disease and accelerating the discovery of novel treatments through human genetics.”と書かれているので、wet部分を担当する製薬企業にどんな薬を作ったら良いかの情報を提供するだけだと思います。

GenentechのRichard SchellerはLasker賞受賞者で、アバスチンやハーセプチンの創薬に貢献したと言われていますが、それはかなり過去の栄光ですし、アバスチンなどはその光にも陰りが見えています。良い転職のチャンスだったのでしょう。

個人的な感想ですが、Googleの情報力と財力をつぎ込んでも、先進国での平均寿命はヒトの寿命の限界に近づいているので、薬の特許切れのペースを新薬発見のペースが上回る時代はもう戻って来ないと思います。

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