イモガイは少なくとも2つの毒を使って魚を低血糖にして捕食する

魚を捕食するイモガイは、ソマトスタチンとインスリンの類似物質を武器として獲物の血糖恒常性を破壊する。
以下は、論文要約の抜粋です。


ある種の魚類を捕食する巻貝が、武器化したインスリンを用いて獲物に低血糖ショックを引き起こすという発見は、グルコースホメオスタシスを標的とする毒のユニークな例を示した。

ここでは、インスリンに加えて、致死性の魚類ハンターであるイモガイ(Conus geographus)が、インスリンに対抗するホルモンであるグルカゴンの放出を阻害する選択的ソマトスタチン受容体2(SSTR2)アゴニストを使用することで、インスリン誘発性低血糖症を悪化させることを示す。

コンソマチンnG1は、脊椎動物のソマトスタチンのようなコアモチーフを最小化したプロテオフォルムで存在し、N末端領域は高度にグリコシル化されている。我々は、この毒素のN末端が魚類の膵臓由来の糖鎖化ソマトスタチンをよく模倣しており、魚類のSSTR2を活性化するのに重要であることを示した。これらの知見を総合すると、グルコースホメオスタシスが獲物捕獲の効果的な標的であることが立証された。


アンボイナの貝殻

貝類は魚のエサだと思っていたのですが、逆もあることに驚きました。イモガイには500以上の種類があり、千葉県の房総半島から南に広く分布し、浅瀬などにも生息しています(記事をみる)。

歯舌(しぜつ)という舌のような器官を銛(もり)のように鋭く発達させており、ここに強力な毒があります。以下は、アンボイナというイモガイに刺されたヒトの体験談です(記事をみる)。


刺された時の痛みは、蚊に刺された程度であった。受傷部には歯舌が刺さっていたので、受傷直後右手で歯舌歯を抜いて、3~4回口で咬むようにして受傷部を強く吸引した。5分後受傷部を見たら、小さな赤い点と直径約1cmの小さな腫れが認められた。

受傷から約30分後、岸へ帰ろうとして水中眼鏡を外したら、目眩、複視、喉の乾き、身体のだるさを感じた

(中略)

一人では歩行不能になりそうだったので、前方の男性に大声をかけて助けを求めた。彼に身体の左側を支えてもらいながら岸までたどり着いたが、彼がいなければたどり着けなかった可能性が高いと思われた。


下線部が低血糖症状かもしれません。以下は、イモガイの捕食映像です。

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