寄生虫が人の行動に影響? 感染者、起業志向強く
以下は、記事の抜粋です。
トキソプラズマという寄生虫に感染している人は起業志向が強いとの研究を、米コロラド大などのチームが25日、英王立協会紀要に発表した。因果関係は証明できていないが、ホルモンや脳の情報伝達物質の出方を変え、感染者をリスクの高い行動に駆り立てている可能性もあるという。
チームは米国の大学生約1500人を調査。唾液検査で感染と判定された学生は、感染のない学生に比べてビジネス系の専攻を選ぶ割合が1.4倍だった。専攻の中でも会計や財務より経営や起業関連を勉強する割合が1.7倍となった。社会人約200人の調査でも、起業経験の割合は感染者が1.8倍だった。
元論文のタイトルは、”Risky business: linking Toxoplasma gondii infection and entrepreneurship behaviours across individuals and countries”です(論文をみる)。
トキソプラズマは通常はネコに寄生します。ネコからネコへ感染するのにネズミを媒介とし、寄生したネズミの行動を変化させてネコに食べられやすくすることが知られています。
National Geographicの記事は、以下のように、ネズミの脳内でトキソプラズマが神経伝達を介して行動を変化させるメカニズムを説明しています。
トキソプラズマがこうした変化を生じさせるメカニズムは謎だったが、2009年にイギリスの研究チームが、トキソプラズマはドーパミンの前駆物質であるレボドパ(L-dopa)を生成する2つの遺伝子を持つことを発見した。
どうやらトキソプラズマが樹状細胞の内部で神経伝達物質のガンマ-アミノ酪酸(GABA)を産生させ、同じ樹上細胞の外側にあるGABA受容体を刺激し、それによって細胞に体内を移動させ、脳に到達していると考えられた。
トキソプラズマは、ほぼ全ての哺乳類・鳥類に感染し、ヒトの場合、世界人口の3分の1が感染している(日本では20~30%)という研究報告もあります。ヒトでもドーパミンやGABAの神経伝達に影響して、大胆な行動をさせているとしたら、、、ちょっと怖い話です。
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