少し高い血圧でも脳・心血管疾患のリスクは2倍

少し高い血圧でも脳・心血管疾患のリスクは2倍
以下は、記事の抜粋です。


わが国で心疾患は死因順位の第2位であるが、若年から中年における血圧分類と心血管疾患(CVD)イベントとの関連に関するエビデンスは乏しかった。そこで、桑原 恵介氏(横浜市立大学)らの研究グループは、関東・東海地方に本社のある企業など10数社による職域多施設共同研究“Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study”(J-ECOHスタディ)に参加した高血圧の治療中ではない就労者8万1,876人を9年間追跡調査した。その結果、「少し高い血圧」の段階から脳・心血管疾患の発症リスクが高まることが確認された。

参加者は、ベースライン時に降圧薬を服用していない20~64歳の就労者8万1,876人。血圧分類は、2010年度または2011年度の血圧値を『高血圧治療ガイドライン2019』に基づき、正常血圧、正常高値血圧、高値血圧、I度高血圧、II度高血圧、III度高血圧の6群に分類した(下記の表を参照してください)。脳・心血管疾患発症の定義は、脳・心血管疾患、疾病休業、死亡の3種類の登録制とした。追跡期間は2012~21年の最大9年間。

主な結果は以下のとおり。

・追跡期間中に334例の心血管イベント、75例の心血管死亡、322例の全死因死亡がみられた。
・正常血圧を基準とした心血管イベントの多変量調整HRは、正常高値血圧が1.98(95%CI:1.49~2.65)、高値血圧が2.10(1.58~2.77)、I度高血圧が3.48(2.33~5.19)、II度高血圧が4.12(2.22~7.64)、III度高血圧が7.81(3.99~15.30)だった。
・最も集団寄与危険度割合が高かったのは高値血圧で17.8%、次いでI度高血圧で14.1%、正常高値血圧で8.2%と続いた。
・以上の結果から、少し高い血圧(正常高値血圧)の段階から脳・心血管疾患発症リスクに対する取り組みが必要であることが明らかとなった。


高血圧は症状が何もないことが多いので、このようなリスクがあることを説明しても納得してもらうことが難しいです。また、高齢者の血圧は変動が激しいことも血圧測定やデータへの信頼を失わせる原因です。そのため、自分の気に入った値が出るまで何度も血圧を測るヒトも多いです。こういうヒトの本当のリスクを知りたいです。

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