新旧の抗精神病薬ハロペリドールとパリペリドンの統合失調症に対する効果は同じ―50年間進歩なし

第1世代抗精神病薬を見直すべき?
以下は、記事の抜粋です。


統合失調症および統合失調感情障害の成人患者を対象とした新旧の抗精神病薬を比較したランダム化比較試験ACLAIMSから,両者の有効性に差はないことが示唆された。同試験では,持効性の抗精神病薬のうち第1世代のハロペリドールと第2世代のパリペリドンが比較されたが,主要アウトカムに有意差は認められなかった。米Colombia大のJoseph P. McEvoy氏らが詳細を JAMAに報告。


元論文のタイトルは、”Effectiveness of Paliperidone Palmitate vs Haloperidol Decanoate for Maintenance Treatment of Schizophrenia: A Randomized Clinical Trial”です(論文をみる)。

この研究の前に、パリペリドンとよく似た第2世代抗精神病薬のリスペリドンをハロペリドールと経口投与で比べた試験(論文をみる)があり、その結果から筆者らは、パリペリドンの方が精神病に対する効果が高く錐体外路症状も少ないが、ハロペリドールの方が体重増加と血中プロラクチンレベルの増加がマイルド、という結果を予想していたそうです。

ところが、錐体外路症状などの副作用は予想通りだったけれども、肝心の効果には差がなかったという結果でした。また、特筆すべきことに、効果が同じだったという結果以外は、以前に関連記事で紹介した15種類の抗精神病薬を比較したメタ解析の結果と同じでした。メタ解析侮るべからずです。

そのメタ解析によると、統合失調症に対する効果はリスペリドン>パリペリドン>ゾテピン>ハロペリドールだったので、これもほぼ同じ結果だったというかもしれません。この論文が本当だとすると、悲しいことに、50年以上も抗精神病薬の効果には進歩がなかったということになります。

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