赤ワインなどに含まれるレスベラトールの摂取量は死亡、心臓病、がんのどのリスクとも関連しない

赤ワインのポリフェノールに健康への効果確認できず、研究
以下は、記事の抜粋です。


高脂肪の食事がもたらす「落とし穴」を赤ワインで回避できるとする「フレンチ・パラドックス」には問題があるとする研究が、5月12日のJournal of the American Medical Association Internal Medicine(JAMA電子版)に掲載された。

研究によると、赤ワインに豊富に含まれている抗酸化物質の「レスベラトロール」に人を長生きさせる効果は見受けられなかったという。

ジョンズホプキンス大学医学部のRichard Semba氏率いる研究チームは、「欧米式の食事に含まれるレスベラトロールには、炎症、心臓血管疾患、がん、寿命などへの実質的な効果を持たないことが示された」という。

ポリフェノールの一種であるレスベラトロールについては、動物を用いた過去の実験で、健康に良い効果を与える可能性が示されていた。レスベラトロールのサプリメントは、米国だけでも年間約30億円規模の市場に成長したとされる。

今回の研究は、イタリア・トスカーナ地方の2つの小さな村に住む65歳以上約800人を対象に行われた。研究では、被験者の尿に含まれるレスベラトロールの濃度が測定され、食事を通して摂取したレスベラトロールが、健康促進に効果を与えているかどうかを調べた。

1998年に研究を開始してから9年間で被験者の34%が死亡したが、レスベラトロール濃度と早死にとの間に相互関係を見つけることはできなかった。また、がんや心臓疾患の発症とレスベラトロール濃度との間にも、特に関連性を見出すことができなかったという。


元論文のタイトルは、”Resveratrol Levels and All-Cause Mortality in Older Community-Dwelling Adults”です(論文をみる)。

「フレンチ・パラドックス」とは、フランス人は高脂肪食を食べているにもかかわらず、心疾患が少ないという現象をいうようです。これは、抗酸化物質のレスベラトールを含む赤ワインを、フランス人が多く飲むためだ、とする説がありました。

論文によると、783人の被験者の中、9年間で268名が死亡、174名が心臓病に、34名ががんになりました。被験者たちは毎日の食事と尿中のレスベラトール量をチェックされました。尿中のレスベラトール量は摂取量に比例すると考えられています。

しかし、予想に反して、尿中のレスベラトール量は死亡リスク、心臓病リスク、がんリスクのどれとも関連しなかったというのが今回の報告です。

「『フレンチ・パラドックス』には問題がある」というよりは、「『フレンチ・パラドックス』はレスベラトールでは説明できない」ということだと思います。気候とか精神生活とかがパラドックスの原因かもしれないと思いました。

サプリの問題点は、このような報告が出ても、以前に出た「有効」という報告が見直されたり、トクホの承認が取り消されたりすることがほとんどないことです。

コメント

  1. taniyan より:

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    tak先生、お早う御座います。
    何時も難しい論文類、分かり易く解説下さり有難う御座います。
    ラスベラトロール、NHKでも長寿遺伝子を刺激し、云々、行きつけの調剤薬局では棚に箱がズラリ並んでます、VTRで何時も流してます。
    自分は真意切れないと疑問にを感じてましたがやっぱりですね。
    長年服用のサプリは全て止め、今はビタミンCとエビオス錠(ビール酵母)だけ服用、Cも良く判りませんが。
    それでは本日も研究、教鞭、大変お疲れ様です。

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