スキルス胃がんの1/4でRHOAに機能獲得変異

難治性胃がんの原因遺伝子変異を発見
以下は、記事の抜粋です。


胃がんによる日本人の死亡は年間約5万人となお多い。中でも治療が難しいスキルス胃がん組織のゲノムを解読し、がん化の原因となる遺伝子の変異を、東京医科歯科大学の石川教授らが発見した。5月11日付の米科学誌ネイチャージェネティクスのオンライン版に発表した。

スキルス胃がん87例の組織からゲノムDNAを取り出し、タンパク質を作る遺伝子の部分の配列を網羅的に解析した。スキルス胃がんの4分の1に、RHOA 遺伝子の体細胞変異があった。この遺伝子は、細胞運動・増殖制御の信号を伝える分子で、スキルス胃がん症例で見つかった変異は特定の部位に集中していた。

RHOAタンパク質の機能や構造の解析は、未来創薬研究所と共同で実施した。複数の実験で検証したところ、この遺伝子変異は機能を獲得した変異で、スキルス胃がんの重要な原因になっていることがわかった。逆にこの変異したRHOA 遺伝子の機能を阻害すると、がん細胞の増殖が低下することも確認した。


元論文のタイトルは、”Recurrent gain-of-function mutations of RHOA in diffuse-type gastric carcinoma”です(論文をみる)。

Nature Geneticsのホームページをみると、”RHOA and gastric cancer”という見出しで、石川教授らの論文(letter)とKai Wang氏らの論文(article)が2つ紹介されていました。Kai Wang氏らの論文のタイトルは、”Whole-genome sequencing and comprehensive molecular profiling identify new driver mutations in gastric cancer”です(論文をみる)。この論文ではスキルス胃がんの14.3%にPHOAの機能獲得変異があると書かれています。

RHOAの下流には複数の経路があるので、その中のどの経路がスキルス胃がんの発生に関与するのか、RHOAが関与しないスキルス胃がんとの違い、RHOAが関与する他のがんとの違い、などを知りたいと思いました。

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