気管支喘息長期管理薬としてのロイコトリエン受容体阻害薬、第一選択薬又は追加薬としての有効性

Leukotriene Antagonists as First-Line or Add-on Asthma-Controller Therapy

以下は、論文要約の抜粋です。


背景:喘息治療に関するランダム化試験のほとんどは、理想化された条件下の選ばれた患者を対象としている。

方法:ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)の実際的な有効性を評価するために、長期管理の第一選択薬として、LTRAと吸入グルココルチコイドを比較する試験と、すでに吸入グルココルチコイド療法を受けている患者への追加薬として、LTRAと長時間作用性β2刺激薬(LABA)を比較する試験の、2つの多施設実地臨床試験を並行して行った。

喘息関連QOLが低い12~80歳の患者あるいは、喘息コントロールが不十分な患者を対象とした。第一選択薬試験ではLTRA群(148例)と吸入グルココルチコイド群(158例)に、追加薬試験ではLTRA追加群(170例)とLABA追加群(182例)にランダムに割り付け、かかりつけの医師のもとで2年間の非盲検治療を行った。

結果および結論:どちらの試験でも2年間で喘息関連QOLは0.8~1.0ポイント改善した。2ヵ月の時点では、LTRAは長期管理の第一選択薬として吸入グルココルチコイドと同等であり、追加薬としてはLABAと同等であることが示唆されたが、2年の時点では同等性は示せなかった。


この臨床試験で用いられたLTRAは、モンテルカスト(montelukast、シングレア®)とザフィルルカスト(zafirlukast、アコレート®)の2つです。どちらも日本で承認されています。日本ではもう1つプランルカスト(pranlukast、オノン®)というLTRAが市販されています。

LTRAはグルココルチコイドやLABAと比べると副作用が少ないので、作用もかなり弱いだろうと思っていました。この論文を読んでLTRAが意外に良く効くのに驚きました。二重盲検ではありませんが、2ヶ月間でも吸入グルココルチコイドと同等というのは「良くやった」という感じです。

LTRAは気管支喘息だけではなく、アレルギー性鼻炎にも使われています。おそらく日本では、この臨床試験が行われたイギリスよりもはるかに多くのLTRAが使われていると思います。今後は、ますます使われるようになるのではないかと思いました。

プランルカストの働きを説明する漫画(エルメッドエーザイより)

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