1型糖尿病患者の半数以上が、20歳以降に発症している可能性

1型糖尿病患者の3分の1以上が30歳過ぎまで病型を診断されていない
以下は、記事の抜粋です。


米国では、成人の1型糖尿病患者の10人中4人近くが、30歳を過ぎるまで、糖尿病の病型が1型であると診断されていないという実態が報告された。ただし研究者らは、「明らかになったこの結果は、1型糖尿病の発症パターンが多様であることを意味するものであって、いつまでも診断されずにいる1型患者が多数存在するというわけではない」とも述べている。主導したジョンズ・ホプキンス大学のMichael Fang氏は、「この結果は多くの臨床医にとって驚嘆に値するだろう」と述べている。

1型糖尿病は、免疫システムの暴走によって自分自身の体に対して攻撃が生じた結果、発症すると考えられており、このような発症原因は、より一般的な病型である2型糖尿病と大きく異なる。米疾病対策センター(CDC)は、米国での全糖尿病患者のうち1型糖尿病は約5~10%程度であるとしている。

1型糖尿病はどの年齢でも発症する可能性があるが、一般的には小児期や思春期、若年成人期での発症が多いというコンセンサスがある。しかしFang氏らの今回の研究報告は、そのような理解が誤りである可能性を示している。1型糖尿病患者の半数以上が、20歳以降に発症していると考えられるという。

Fang氏らは、2016~2022年(2018年は除く)の米国国民健康面接調査(NHIS)のデータを用いて、950人近くの成人(18歳以上)1型糖尿病患者の診断時年齢を調べた。NHIS調査時の平均年齢は49歳で、約4分の3を白人が占めていた。診断時の年齢の中央値は24歳であり、これは全体の半数は24歳以上になってから診断されていたことを意味する。また、全体の57%は20歳以降に1型糖尿病と診断され、37%は30歳以降、22%は40歳以降に診断されていた。

性別で比較した場合、男性は女性よりも遅く診断されていることが多かった(診断時年齢の中央値が女性は22歳で男性は27歳)。人種/民族で比較した場合は、非ヒスパニック系白人は診断時年齢の中央値が21歳であるのに対して、マイノリティーでは26~30歳と、やや高齢の範囲に分布していた。これらの結果からFang氏は、「1型糖尿病は一般的に小児期に発症すると考えられているが、それほど単純なものではなく、発症の時期は幅広い年齢層に分布している可能性がある」と述べている。

1型糖尿病の場合、基本的には生存のためにインスリン療法が必須とされる。ただしCDCによると、そのような1型糖尿病であっても、発症後の初期には症状が軽度なこともあり、数カ月、場合によっては数年間も1型だと気付かれないこともあるとしている。また現時点では、糖尿病を新規発症した患者全員に対して、糖尿病の病型を診断するための検査を行うような推奨はされていない。

本研究には関与していない、デューク大学のCaroline Sloan氏は、「多くの臨床医は、成人発症の糖尿病であれば1型糖尿病の可能性は低いと考える。しかし実際はそうとは言えないことが本研究から明確になった」と述べている。また同氏は、「これは大きな問題である」とし、その理由を「1型糖尿病と2型糖尿病では、治療内容や患者への指導・情報提供内容が異なり、さらに、治療に当たる医師の変更を要することもあるからだ。発症後に行われる治療次第で、患者のその後の血糖コントロールに差が生じてしまうこともあり得る」と解説。その上で、「成人発症の糖尿病であっても、診断時に糖尿病の病型まで把握可能な検査を行うことが重要ではないか」と提言している。


私も50歳で突然体重が6kg減ったことで1型糖尿病であることがわかった患者さんを知っています。私はそれほど多くの1型糖尿病の患者さんを知っている訳ではありませんが、半数以上が20歳以上で発症しています。

あと、元記事のタイトル「成人1型糖尿病患者の3分の1以上が30歳過ぎまで病型を診断されていない」は、誤解を招くので最初の「成人」は不要だと思います。なお、元論文のタイトルは、”Age at Diagnosis in U.S. Adults With Type 1 Diabetes(米国成人の1型糖尿病患者における診断時年齢)”です(論文をみる)。

1型糖尿病の罹患率(診断時年齢・性別)(米国、2001-2015年)

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