NOドナーではない可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬リオシグアト(riociguat)

リオシグアト:慢性血栓塞栓性肺高血圧症に有効なsGC刺激薬
以下は、記事の抜粋です。


2014年1月17日、慢性血栓塞栓性肺高血圧症治療薬のリオシグアト(riociguat、アデムパス®)が製造承認を取得した。適応は「外科的治療不適応又は外科的治療後に残存・再発した慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)」。

慢性血栓塞栓性肺高血圧症は、肺高血圧症(PH)の一種であり、進行性で致死性の疾患である。PHでは、内皮機能不全や一酸化窒素(NO)の合成障害により、可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)への刺激が不十分となる。

リオシグアトは、sGC刺激薬と呼ばれる、新しい作用機序を有する世界初の薬剤である。sGCを刺激し、NO-sGC-GMP経路を回復させることでNOの欠乏に対処し、結果的にcGMP産生を向上させる。
海外では、2013年10月に米国(適応:CTEPHおよび肺動脈性肺高血圧症)で承認されており、現在はEUにおいては製造承認を申請中である。


リオシグアトは、NOに対するsGCの感受性を高めると同時に、NOとは独立して直接sGCを活性化する新しいメカニズムの血管拡張薬です(総説をみる)。

現在使用可能なPHの治療法としては、抗凝固薬(血栓形成を防止する)、利尿薬、カルシウム拮抗薬、酸素療法などの一般療法と、以下のような特異的薬物療法があります。

特異的薬物療法の基本は、血管拡張と血管壁細胞の増殖抑制です。プロスタグランジンI2(PGI2)、PDE5阻害薬のシルデナフィル(バイアグラ®)とタダラフィル(ザルティア®)、エンドセリン受容体拮抗薬のボセンタン(トラクリア®)とアンブリセンタン(ヴォリブリス®)などが用いられます。

現在、最も効果があるとされているのは、 PGI2(エポプロステノール®)の注射製剤の静脈内持続注入療法です。今後は、リオシグアトも選択肢の一つとして、あるいは他の薬物と組み合わせて、PHの治療において活躍することが期待されます。

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