Proteome-wide Analysis and CXCL4 as a Biomarker in Systemic Sclerosis
以下は、論文要約の抜粋です。
背景:形質細胞様樹状細胞(Plasmacytoid dendritic cells)は、全身性強皮症の発症機序に関与することが示唆されているが、そのメカニズムは不明である。
方法:明らかな臨床表現型を示す全身性強皮症患者から形質細胞様樹状細胞を単離し、健常者の細胞と比較した。さらに、プロテオームワイド解析を行い、他の膠原病患者の結果と比較した。
結果:解析の結果、CXCL4が全身性強皮症患者の形質細胞様樹状細胞から分泌される主な蛋白であることが示された。全身性強皮症患者のCXCL4の平均血中濃度は25,624±2,652 pg/mLで、コントロール(92.5±77.9 pg/mL)、SLE患者(1,346±1,011 pg/mL)、強直性脊椎炎患者(1,368±1,162 pg/mL)、肝線維症患者(1,668±1,263 pg/mL)よりも有意に高かった。CXCL4の濃度は皮膚の硬化、肺の線維化、肺動脈性肺高血圧症などと相関していた。
結論:CXCL4の濃度は全身性強皮症患者で増加しており、肺線維症や肺動脈性肺高血圧症などの合併症の存在と進行に相関していた。
全身性強皮症は皮膚や内臓が硬くなる変化を特徴とし、慢性に経過する疾患です(難病情報センターのサイトを見る)。本邦での患者数は2万人以上とされています。男女比は1:12であり、30~50歳代の女性に好発します。(1)線維芽細胞の活性化(皮膚や内臓の硬化が生じる)、(2)血管障害(レイノー症状や指尖部の潰瘍などの原因)、(3)免疫異常(自己抗体が産生される)の3つが特徴だとされていますが、はっきりとした原因は不明で、有用な診断マーカーも同定されていないため、診断は、病歴、血中の抗核抗体、肺や食道の検査結果などを総合して行われています。
ケモカインCXCL4が、有用な診断マーカーとして早期治療と進行の防止に役立つこと、さらに病因の解明や治療方の開発に結びつくことを祈ります。
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