アムロジピンは最もよく使われている降圧薬ですが、パキロビッドパック®という新型コロナ感染症で重症化の恐れがある成人の入院または死亡のリスクを89%低下させると報告されている薬と、以下のように「併用注意」となっています。どのくらい注意したらよいのでしょう?
どのくらい注意したらよいのでしょう?
アムロジピンの併用に注意する必要があるのは、関連記事に書いたように、抗ウイルス成分のニルマトレルビルが肝臓のCYP3A4という代謝酵素で速やかに分解されて効力を失うため、ニルマトレルビルの血中濃度を維持する目的でCYP3A4の阻害作用を持つリトナビルが合剤として追加されているため、同時に投与するとCYP3A4で代謝される薬の血中濃度が上がって作用や副作用が強く出る恐れがあるからです。グレープフルーツは、強いCYP3A4の阻害作用を持つため、パキロビッドパック®と併用禁忌や注意の薬を飲んでいるヒトは、グレープルーツを食べたりグレープフルーツジュースを飲んだりしてはいけないことになっています。それで、下の記事がとても参考になります。
グレープフルーツの薬剤に与える影響
相互作用を及ぼす成分(フラノクマリン類)は果皮だけでなく果肉(種や袋除く)にも含まれていて、グレープフルーツ1個の果肉と、グレープフルーツジュース250mlが同等のCYP3A4阻害作用を持つ。つまり、ジュースだけでなく、果肉の摂取も控えることが望ましい。
グレープフルーツは絶対摂取したらダメか?
以下のグレープフルーツジュースによる薬物動態への影響を見ればわかる通り、Ca拮抗薬服用中の患者がグレープフルーツジュースを摂取した場合、半減期や消失速度は変わらないものの、最高血中濃度(Cmax)とAUC(血中濃度-時間曲線下面積)が上昇する。
中でもアムロジピン(ノルバスク®)とジルチアゼム(ヘルベッサー®)はCYP3A4阻害の影響を受けにくいため、比較的気にせずグレープフルーツを摂取できる薬剤である。とはいえ、併用注意欄に記載があるため注意するに越したことはない。
商品名 | 一般名 | AUC | Cmax |
---|---|---|---|
ノルバスク アムロジン |
アムロジピン | 1.08~1.16倍 | 1.07~1.15倍 |
ランデル | エホニジピン | 1.67~1.7倍 | 1.26~1.55倍 |
アテレック | シルニジピン | 2.3倍 | |
ペルジピン | ニカルジピン | 1.34~1.97倍 | 1.24~1.53倍 |
バイミカード | ニソルジピン | 1.98~4.55倍 | 3.06~4.92倍 |
バイロテンシン | ニトレンジピン | 1.40~2.06倍 | 1.40~1.99倍 |
アダラート セパミット |
ニフェジピン | 1.08~2.03倍 | 1.04~1.94倍 |
ニバジール | ニルバジピン | ND | ND |
コニール | ベニジピン | 1.59倍 | 1.73倍 |
カルスロット | マニジピン | 2.31~2.44倍 | 2.35~3.07倍 |
カルブロック | アゼルニジピン | 3.32倍 | 2.54倍 |
ムノバール スプレンジール |
フェロジピン | 1.43~3.34倍 | 1.70~4.35倍 |
サプレスタ ベック |
アラニジピン | ND | ND |
ヘルベッサー | ジルチアゼム | 1.03~1.10倍 | 1.02~1.07倍 |
ワソラン | ベラパミル | 1.28~1.42倍 | 0.85~1.61倍 |
※アゼルニジピンは併用禁忌薬物です。大日本住友製薬 医療情報サイト カルグレより一部抜粋並びに改変(グレープフルーツジュース:200~400ml摂取時 剤形(徐放剤等)違いは影響しない)
ということで、アムロジピン(ノルバスク®)とジルチアゼム(ヘルベッサー®)はCYP3A4阻害の影響を受けにくいため、比較的気にせずパキロビッドバッグ®を投与できる薬剤である。とはいえ、併用注意欄に記載があるため注意するに越したことはない。
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