骨が免疫を育て脂肪バランスを整える

骨細胞、脂肪代謝に関与=免疫細胞育成にも-神戸大など
以下は、記事の抜粋です。


骨に含まれる骨細胞が、脂肪の適切な保持や免疫細胞の育成に関与していることを、神戸大の片山講師らの共同研究グループが突き止めた。研究成果は10月17日付のセル・メタボリズム電子版に掲載された。

研究グループは、遺伝子操作で全身の骨細胞にダメージを与えたマウスを3週間観察。その結果、正常に食事を与えても脂肪がなくなり体重が40%程度減少したほか、骨髄や胸腺で免疫作用を担う白血球の一部が著しく減少した。一方、このマウスの脳の視床下部を破壊すると、肝臓にのみ脂肪がたまる現象が見られ、骨細胞と脳が協調して肝臓の脂肪の量をコントロールしていることも分かった。

片山講師は「骨細胞をうまく機能させれば、脂質代謝異常や免疫異常の治療にも効果を上げられる可能性がある」と話している。


元論文のタイトルは、“Osteocytes regulate primary lymphoid organs and fat metabolism.”です(論文をみる)。

論文の要点は以下の4つです。
●骨細胞はBリンパ球の微小環境に必要である。
●骨細胞はTリンパ球の微小環境に必要である。
●骨細胞は脂肪代謝の維持に必要である。
●骨細胞は肝臓の脂肪制御において脳と協働する。

図でまとめると以下の様になります。JSTのサイトにより詳しいまとめがあります。

個人的に嬉しいのは、私に内科の臨床を親切に教えていただいた方の名前を著者の中に見つけたことです。彼は、もう一人の著者である私の友人が元学部長のハラスメントによって大学の職を奪われた事件に巻き込まれ、神戸大での研究を続けられなくなりました。この方や私の友人の苦境を目の当たりにしながら何もできなかった自分を改めて悔いるとともに、想像を絶する厳しい環境の中で、素晴らしい研究を遂行した片山さんたちのグループに心からの敬意を送りたいと思います。

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