先日、COPDに関する勉強会に参加してきました。そこで印象に残ったことは、太った人はCOPDになりにくいということと、タバコの煙もPM2.5であるということでした。以下は、PM2.5についての禁煙学会の見解と提言のまとめです。
PM2.5は粒子状物質(Particulate Matter)で、直径が2.5ミクロン以下の非常に小さな粒子を意味します。PM2.5の濃度が高い地域の住民の死亡率が高くなるので注目されています(論文をみる)。アメリカなどでの調査によると、PM2.5が10㎍/㎥増えると、心臓や肺の病気の死亡率が9%、肺ガン死亡率が14%、全死亡率が6%増えます(論文をみる)。
WHOは、規制目標とすべき大気のPM2.5を「1年平均値で10μg/㎥未満、1日平均値で25μg/㎥未満」とすることを勧告しました。日本の環境省のPM2.5に関する基準は「1年平均値が15μg/㎥以下であり、かつ、1日平均値が35μg/㎥以下」です。厚生労働省は、職場内のPM2.5の上限を100㎍/㎥と定めています。
最近、気象とエネルギー使用の特質により、およそ100㎍/㎥程度だった北京周辺のPM2.5が数百㎍/㎥まで増加するようになり、高齢者、小児、病弱者に健康被害が激増することが強く懸念されています。実は、1970年代の日本の大都市では、今の中国に近い粉じん汚染がありました。
しかし、ここで忘れてはいけないのは、タバコの燃焼によって発生する煙もPM2.5であることです。わが国の飲食サービス業の店内(車内)のPM2.5です。全面禁煙の店舗以外は、ほとんどすべてでPM2.5が100㎍/㎥を越えており、自由喫煙の居酒屋などは、北京の最悪汚染時に匹敵するPM2.5レベルとなっています。日本では、中国からのPM2.5よりは受動喫煙の方がはるかに問題であると言えます。
10月17日には、WHOの外部機関「国際がん研究機関(IARC)」のKurt Straif史が、「がんの主要な原因は大気汚染」であると発表したそうです(記事をみる)。
Straif氏の発表の根拠はみていないのでわかりません。ただ、禁煙学会の引用している論文やデータはすべて実在のものです。
博多に行って、中国から飛んでくるPM2.5を恐がりながら、全面禁煙でない飲食店へ入ることがいかにバカバカしいことか良くわかりました。全面禁煙でない飲食店やバーなどの従業員の健康問題はシリアスだと思います。
コメント