ケタミンにうつ病の症状を軽減する効果

違法薬物ケタミンにうつ病の症状を軽減する効果が判明し、新しい治療法になる可能性
以下は、記事の抜粋です。


ケタミンは、日本で麻薬及び向精神薬取締法に基づく規則により麻薬指定されている物質です。しかしながら、Oxford Health NHS Foundation Trustの研究チームが、うつ病患者にケタミンを投与する実験を実施したところ、患者の症状が軽減したり完全に消えたりする結果が得られ、うつ病治療の新しい手段としての可能性が高まっています。

研究チームは、28人のうつ病の患者に対してケタミンを含んだ点滴を40分間投与するという実験を3週間で6回実施。その結果、患者全体の29%にあたる8人にうつ病症状の軽減が確認され、そのうち4人は症状が完全に消失。また、3人の患者は1回目の投与から6時間後に症状が緩和されたことも確認されています。

しかしながら、ケタミン投与による効果が数日で消えて元に戻ってしまった患者もおり、長くても3カ月ほどしか効果が持続しなかったり、ケタミンの効力の持続性にまだまだ課題が残されています。さらには、強い副作用が確認された被験者もいました。期待されていたような効果が見られず不安が増幅したので、投与の中断を余儀なくされたケースも発生しました。

ケタミンは麻薬指定されている物質で薬物依存性を持つため、日本でのうつ病患者に対する投与は認可されてません。


元論文のタイトルは、”Ketamine infusions for treatment resistant depression: a series of 28 patients treated weekly or twice weekly in an ECT clinic”です(論文をみる)。

ケタミンがうつ病に有効であるという論文は、2000年に既に報告されています(論文をみる)。その後、無作為化臨床試験も行われ、有効性は既に何度も確認されています。しかし、その多くは1回投与の効果を調べた試験であり、今回のような6回も投与する試験は初めてだそうです。また、ケタミン中毒者やメカニズムが近いと考えられる電気ショックでは記憶障害が報告されているので、認知機能に対する影響も調べたというのが今回の論文です。

いずれにしても、効果があることはわかっているけれど、非常に使いにくい薬物であることには変わりありません。うつ病の治療に広く使われるようになるかどうかは疑問です。

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