ALK陽性進行肺がんに対するクリゾチニブと化学療法の比較

Crizotinib versus Chemotherapy in Advanced ALK-Positive Lung Cancer
以下は、論文要約の抜粋です。


背景:小患者グループでの予備的臨床試験では、ALKの染色体再配置が認められる肺がんに対して、ALKを分子標的とする経口チロシンキナーゼ阻害薬クリゾチニブが著効を示すことが報告されている。しかし、クリゾチニブの効果が標準的な化学療法よりも優れているかどうかは不明である。

方法:白金製剤ベースの薬物治療を1度受けたことがある局所進行性または転移性のALK陽性肺がん患者347例に対して、クリゾチニブと化学療法(クリゾチニブまたはドセタキセル)とを比較する第3相非盲検試験を行った。化学療法群で増悪をきたした患者には、クリゾチニブへのクロスオーバーを許可した。主要エンドポイントは無増悪生存期間とした。

結果:無増悪生存期間中央値は、クリゾチニブ群で7.7ヶ月、化学療法群で3.0ヶ月であった。奏効率は、クリゾチニブ群で65%、一方、化学療法群では20%であった(P<0.001)。クリゾチニブに関連した有害事象は、視覚障害、消化器系副作用、肝アミノトランスフェラーゼ値上昇などが多かった。一方、化学療法では疲労、脱毛、呼吸困難が多かった。患者の報告によると、肺がんの症状の軽減や全般的QOLの改善においても、クリゾチニブ群が化学療法群よりも優れていた。

結論:ALKの染色体再配置が認められる進行非小細胞肺がん治療において、クリゾチニブは標準的な化学療法よりも優れている。


上記の「背景」に書かれているように、これまでに行われた小規模の臨床試験においては、クリゾチニブがALK陽性の肺がんに対して有効だったと報告されています(論文をみる)。これらの肺がんでは、染色体再配列の結果、融合遺伝子EML4-ALKが生じてALKというチロシンキナーゼが構成的に活性化された結果、細胞が異常に増殖して肺がんが発生したと考えられるため、ALKのチロシンキナーゼ活性を阻害する分子標的薬クリゾチニブが使われるようになりました。

今回の臨床試験は、二重盲検ではありませんが、かなり大規模に行われたため、結果には説得力があります。このようなALK陽性肺がんは、全肺がんの約5%を占めているそうで、非喫煙者で若年性の腺がんの場合は、ALK陽性でクリゾチニブが有効な可能性があります。固形がんの治療も分子標的薬の時代になりそうです。

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