プロテアーゼ阻害薬などの直接作用型抗HCV薬(DAAs)によって大きく変わるC型肝炎治療

変わるC型肝炎治療:百花繚乱の直接作用型抗HCV薬開発
以下は、記事の抜粋です。


これまでC型肝炎の治療では、ペグインターフェロン(Peg-IFN)とリバビリンの2剤併用療法が行われてきた。しかし、2剤併用療法を24週実施して治癒する患者は約50%。多くの患者では48週という長い治療期間が必要となり、それでも治癒する患者は約70%だ。IFNの投与に伴い、倦怠感や発熱などの副作用も出現する。

近年、高い抗ウイルス効果を持つ経口の直接作用型抗ウイルス薬(DAAs、direct-acting antiviral agents)が相次いで開発されている。Peg-IFNとリバビリンにDAAsを加えることで、治療期間の短縮や有効性の向上が期待できるほか、IFNを必要としない治療法も登場する見込みだ。
DAAsは、C型肝炎ウイルス(HCV)の遺伝子情報や蛋白質の構造情報に基づいて設計されている。ウイルスの特定のプロテアーゼやポリメラーゼを阻害してウイルスの増殖を抑制する作用メカニズムを持ち、標的分子に応じて薬剤が分類される。

国内では2011年11月、NS3/4A領域のプロテアーゼを阻害する初のDAAs、テラプレビル(テラビック®)が発売され、Peg-IFNα-2bにリバビリン、テラプレビルを加えた3剤併用療法が実施できるようになった。

さらに、副作用が少ないとされるシメプレビルなどの新しいプロテアーゼ阻害薬やポリメラーゼ阻害薬などのDAAsが次々と開発されている。2剤のDAAsを併用するなどのインターフェロンフリー療法は、IFNの副作用を懸念する必要がなく、これまで治療を受けられなかった患者にとっても新たな治療の選択肢となる。

「これまでのところ、国内外で臨床試験が実施されているインターフェロンフリー療法の有効性は85~95%という印象だ。重篤な副作用は大部分で認められていない。今まで難治と言われてきた肝硬変患者に対しても福音となる可能性がある」と評する専門家もいる。

しかし、特定の分子を狙うDAAsでは、HCVの遺伝子変異により薬剤耐性が生じやすい。既に、各DAAsへの薬剤耐性に関連する遺伝子変異が複数見つかっており、それらの耐性変異を持つウイルスに感染している患者や、治療中にウイルス遺伝子に耐性変異が起きた患者では、DAAsが効きにくくなるのではと考えられている。このように、インターフェロンフリー療法の普及は副作用を軽減し、治療の裾野を押し広げる可能性を秘めると同時に、むやみに使えば薬剤耐性を生み、その後の治療の選択肢を狭める危険もはらんでいる。


上記のように、NS3/4A領域のプロテアーゼ阻害薬を初めとするDAAsはC型肝炎治療だけではなく、肝がんも含めた疾病構造全体を根底から変えようとしています。

記事でも指摘されているように、DAAsなどの分子標的薬には遺伝子変異による薬剤耐性の問題がつきまといます。好むと好まざるに関わらず、今後はますますゲノム解析などによるテーラーメード医療が必要になりそうです。

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