ウイルスだけを食べても増殖できるプランクトンが発見されました

ウイルスだけを食べて増殖する生物を初めて発見!
以下は、記事の抜粋です。


ネブラスカ大学リンカーン校(UNL)のデロング氏により行われた研究によれば、淡水に生息するハルテリアとよばれる動物性プランクトンは、ウイルスだけを食べて成長と増殖ができる能力があることが明らかになった、とのこと。

デロング氏は、近くの池の水と共に雑多な微生物たちを採取し、クロロウイルスと呼ばれる植物プランクトンに感染するウイルスをたっぷりと加えました。そして24時間放置してみたのです。

ここでもし池から汲んできた水の中に、ウイルスを主食とする微生物が存在した場合、その微生物は他の微生物よりも急速に繁殖する可能性があります。24時間後、「ハルテリア」と呼ばれる動物プランクトンの一種が大きく数を増やしていました。

ただこの時点では、ハルテリアが増殖した原因がウイルスではなく、水中の他の植物プランクトンだった可能性もあります。そこで、ハルテリアだけを入れた水槽を2つ用意して、1つにはそのまま放置し、もう1つにはウイルスを加えて2日間の観察を行いました。

結果、ウイルスを加えた水槽ではハルテリアは2日間で15倍も増殖しており、ウイルスの数は100分の1に減少していたのです。一方、ウイルスを加えられなかった水槽では、ハルテリアの成長や増殖は全くみられませんでした。

より明確な証拠を求めて、ウイルスのDNAに緑色の光る蛍光色素を付着させ、ハルテリアがウイルスを物理的に捕食しているかどうかを確かめてみました。すると、ハルテリアの「胃袋」にあたる液胞部分が緑色に輝いていることが判明。ハルテリアがウイルスを物理的に食べていることが明らかになったのです。

植物プランクトンに取り付いて感染しようとしているクロロウイルスの様子

ただこれまでの研究でも、ウイルスが単細胞生物の体に取り込まれている可能性が示唆されたことはありました。また後にスイスで行われたいくつかの研究では、単細胞生物が廃水からウイルスを除去しているようにみえるとの報告がなされています。

しかし「ウイルスだけ」を食べて成長と増殖できる生命が発見されたのは、今回の研究が世界ではじめてです。

ハルテリアは、世界中の池や沼に普遍的に存在する極めて「ありふれた」動物プランクトンです。今回の研究によって、世界中に普遍的に存在するありふれた動物プランクトンがウイルスだけを食べて増殖できることが明らかになりました。

実験で使われたクロロウイルスは植物プランクトンに感染すると、最後にはプランクトンを破裂させて周囲にウイルス粒子を飛び散らせます。ハルテリアが存在する場合、この過程を引き起こすウイルスを食べるため、環境への栄養素の放出が抑えられることにつながります。

デロング氏らは「ウイルスの数やハルテリアの数を考慮すると、彼らが食物連鎖の中で担うエネルギー量は莫大で、地球規模の炭素循環にかんする既存の見方を変えることになるはずだ」と述べています。


元記事のタイトルでは、このハルテリアという単細胞のプランクトンは、ウイルス以外のものを食べないような印象を与えるので、ブログのタイトルを少し変えました。

ウイルスは、新型コロナウイルスでもこのクロロウイルスでも、自分の持っている装置だけでは増殖できないので、他の生物に感染してその生物のタンパク合成装置を使って増殖する必要があります。この場合、光合成で増殖する植物性プランクトンに感染して、増殖してでてきたクロロウイルスを動物性プランクトンのハルテリアが食べて増殖するということになります。

動物性プランクトンの主要なエサの1つがウイルスだということがわかった実験でした。

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